【episode3-君を探して】

文字数 444文字


「あ、またメッセージが届いている。」

沙楽は携帯電話の画面を見るとため息をついた。



お祭りの夜以来会うこともなかった魁人から、高校受験を前に頻繁に連絡がくるようになっていたのである。

沙楽は、やんちゃで積極的な彼に対して、少しばかりの恐れと嫌悪感を覚えながら返信を送っていた。



彼のことを考えるとドキドキする。



それが恋なのか恐怖心なのか、その時の沙楽には判断がつきかねていた。

その迷いから、魁人と仲を深めることを躊躇させたまま入試の日がやってきたのである。



『斜め前に座ってるの沙楽?』魁人からメッセージが届く。

彼が同じ高校を受験することは、共通の友人から聞いて知っていた。



違う学区に住まう2人が会うのは夏祭りの夜以来。



3年ぶりの再会に、沙楽は動揺していた。

入試の日に、魁人が同じ車両まで探しに来るとは思ってもみなかったのだ。




沙楽は、気恥ずかしさと戸惑いを隠せず、共に受験会場に向かっていた友人に隠れるように身を寄せる。

間も無く咲くであろう桜の花びらのように頬を染め「どうしよう。」と小さく(つぶや)いた。

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