エピローグ
文字数 531文字
澄んだ空気を窓から感じながら、エリーは首に指輪が二つ下がっているネックレスを掛ける。髪を整え、鏡で姿を確認する。準備は万全だ。エリーとリヒトが顔を見合わせ、二人同時に頷く。
「レイラ様、忘れ物です!」
「え? あ、ごめんなさい。ティーナ」
外に出ようとして、ティーナに呼び止められる。エリーは苦笑して、荷物を受け取った。ティーナはどこか呆れたような、楽しそうな笑みを浮かべている。
風の都の街外れの、小さい家。そこに、エリーはティーナと暮らし始めた。まだ解いていない荷物もあるが、引っ越しは大体済んでいる。
「ウィリアム様を待たせてしまいますよ」
「はーい。ティーナ、本当に一緒に来なくていいの?」
「はい。私はまだ都の探検がございますので」
「ふふ、わかった。行ってきます」
「行ってらっしゃいませ」
エリーはリヒトを頭の上に乗せ、風の都を走っていく。涼しい風が、エリーを包み込む。大好きな美しい街並みに瞳を輝かせながら、エリーはウィリアムの待つ家へと向かっていった。
「ウィリアムさん、お待たせしました」
相変わらずの無表情のウィリアムがエリーを迎える。
「あぁ……おかえり」
その言葉に、エリーは嬉しそうに笑った。