オルゴール(5)
文字数 667文字
晩ごはんを済ませ、一息ついた。
──そうだ、忘れないうちに。
しまい込んでいた五線紙を出してきて、テーブルに広げる。
──確か最初の音は……。
ペンをにぎると、わたしは古葉村邸で聴いたオルゴールの曲を書きつけはじめた。
──誰の曲なのかな。どのくらい昔の曲なんだろう……?
考えながらも手は自然に動き、すぐに譜面が書きあがる。
──これでなにか情報がわかればいいんだけど……。
そして五線紙をスマホで撮り、音楽スクールで一緒だった男の子に送った。
──あの子なら、知ってるんじゃないかな。
『歩く楽曲データベース』の異名をとる彼のことだ。
曲について、かなり詳しい情報まで知っているかもしれない。
メッセージに既読がつくとほぼ同時に『久しぶり』でも『元気か?』でもなく、『手書きかよ(笑)』と返信がきた。
『そこはツッコまなくていいよ。こういう曲、知らない?』
『知らん。でも悪くないな。俺のにしよっかな』
『ダメだって』
『冗談』
『もしも誰の曲かわかったら、いつでも教えて』
『おっけ。じゃ、また』
──あの子でもムリだったか……残念。
スマホを置いて、小さくため息をつく。
まだ音楽スクールに通っている彼なら、どこかから曲の情報が入るかもしれない。
だけど、彼以上に知識豊富な人はそうそういない。
──たぶん、待っててもなにもわからない……。
そのあとも、わたしはオルゴールの曲のことがずっと気になっていた。
──そうだ、忘れないうちに。
しまい込んでいた五線紙を出してきて、テーブルに広げる。
──確か最初の音は……。
ペンをにぎると、わたしは古葉村邸で聴いたオルゴールの曲を書きつけはじめた。
──誰の曲なのかな。どのくらい昔の曲なんだろう……?
考えながらも手は自然に動き、すぐに譜面が書きあがる。
──これでなにか情報がわかればいいんだけど……。
そして五線紙をスマホで撮り、音楽スクールで一緒だった男の子に送った。
──あの子なら、知ってるんじゃないかな。
『歩く楽曲データベース』の異名をとる彼のことだ。
曲について、かなり詳しい情報まで知っているかもしれない。
メッセージに既読がつくとほぼ同時に『久しぶり』でも『元気か?』でもなく、『手書きかよ(笑)』と返信がきた。
『そこはツッコまなくていいよ。こういう曲、知らない?』
『知らん。でも悪くないな。俺のにしよっかな』
『ダメだって』
『冗談』
『もしも誰の曲かわかったら、いつでも教えて』
『おっけ。じゃ、また』
──あの子でもムリだったか……残念。
スマホを置いて、小さくため息をつく。
まだ音楽スクールに通っている彼なら、どこかから曲の情報が入るかもしれない。
だけど、彼以上に知識豊富な人はそうそういない。
──たぶん、待っててもなにもわからない……。
そのあとも、わたしはオルゴールの曲のことがずっと気になっていた。