門
文字数 1,728文字
一体幾人のワタシを倒して来たのだろう……。
いえ、分かるわね。
深度21に挑むのだから、今までで20体屠ったことになる。
けれど、深くなるにつれ、もうワタシは、深きものは私の原型を留めていなかった。
深度20の敵は人の形すらしていない。
目の当たりにするにはおぞまし過ぎる存在。
けれど、不思議と恐怖は感じなかった。
深きものと対面する時、その容貌とは関係無く、なんだか懐かしみを覚えるのだ。
そう、初めてダイブを経験した時もそうだった。
一体深きものって何?
本当に、私の中に眠る殺人衝動の根幹なの?
いえ、分かるわね。
深度21に挑むのだから、今までで20体屠ったことになる。
けれど、深くなるにつれ、もうワタシは、深きものは私の原型を留めていなかった。
深度20の敵は人の形すらしていない。
目の当たりにするにはおぞまし過ぎる存在。
けれど、不思議と恐怖は感じなかった。
深きものと対面する時、その容貌とは関係無く、なんだか懐かしみを覚えるのだ。
そう、初めてダイブを経験した時もそうだった。
一体深きものって何?
本当に、私の中に眠る殺人衝動の根幹なの?
よせやい!
照れるじゃないか。
……まぁ、精神が安定しているのはいいことだね。
今のキミならどんな深きものとも渡り合えるかもしれない。
ここでの強さは精神の強さ。
恐怖を感じないということは、キミの精神力が深度の脅威を上回っている……ということかも。
照れるじゃないか。
……まぁ、精神が安定しているのはいいことだね。
今のキミならどんな深きものとも渡り合えるかもしれない。
ここでの強さは精神の強さ。
恐怖を感じないということは、キミの精神力が深度の脅威を上回っている……ということかも。
門の表面には、今まで私が押し殺して来た衝動が描かれていた。
赤ん坊の弟をうとましく思ったこと。そのあまりに何度床に叩きつけようと思ったことか。
パパを忘れて他の男と一緒になった母親。挙げ句には弟を妊娠した。何度その大きなお腹を殴りつけようと思ったことか。
そして新しい父親。母親の前では優しい父親を演じているが、私は気づいている。この男は私をいやらしい目で見ていることを。何度、何度包丁で刺し殺そうと思ったことか。
思ったことか。
思ったことか。
思ったことか!
赤ん坊の弟をうとましく思ったこと。そのあまりに何度床に叩きつけようと思ったことか。
パパを忘れて他の男と一緒になった母親。挙げ句には弟を妊娠した。何度その大きなお腹を殴りつけようと思ったことか。
そして新しい父親。母親の前では優しい父親を演じているが、私は気づいている。この男は私をいやらしい目で見ていることを。何度、何度包丁で刺し殺そうと思ったことか。
思ったことか。
思ったことか。
思ったことか!
やめて!
私の心の内を見せないで!
見せないでよ!
見せないでよ!
私の中の殺意が膨れ上がる。
それは今まで向けようにも向けられなかった殺人衝動。
私の手の内に一振りの刀が現れる。
いや、もはやその規模は太刀だ。
私はそれを大きく振り上げた。
この門を破壊しなきゃ。
私の心の平穏を取り戻さなきゃ!
私の心の内を見せないで!
見せないでよ!
見せないでよ!
私の中の殺意が膨れ上がる。
それは今まで向けようにも向けられなかった殺人衝動。
私の手の内に一振りの刀が現れる。
いや、もはやその規模は太刀だ。
私はそれを大きく振り上げた。
この門を破壊しなきゃ。
私の心の平穏を取り戻さなきゃ!
ザクッ!!
To be continued