第35話「最終章」:終の棲家への引っ越し

文字数 1,842文字

 百合さんと少し町を見たが、今ひとつとの感想。継ぎに葉山から逗子、鎌倉へ行くと、道が狭く、買い物にも不自由。茅ヶ崎まで足を伸ばすしたが、不便との感想。その後、17時に家に帰ってきた。翌週、横浜市内を見てみたいと百合さんが、言うので、出かけて、みなとみらいの駐車場に車を止めた。

 その後、みなとみらいのMMタワーマンションが、あり、近くの不動産に事情を話し、空き物件を紹介してもらった。すると、百合さんが、耐震性、地盤について、質問した。それに対し、東日本大震災の時でも、この地区では、液状化は、全くなかったと誇らしげに話した。現在、海が見える中古マンションは、ありますかと聞いた。

 そう言う物件は人気があって、手放す人は少なく、年に1,2軒程度しか出ませんと語った。現在、売りに出てる物件を数件、見学すると、全て、全く海の見えないマンションであり、参考にならなかった。しかし、廊下から見える海の景色は、素晴らしく、この周辺で、海の見えるマンションが、良いと百合さんが答えた。

 不動産屋さんに聞くと、2人だけで住むのですかと聞くので、そうですと答えると、2LDK~3LDK、70~80平米で、1億円位からありますと告げた。えー、20年近く経った物件でも、そんなに高いのですかと聞き返した。すると、海の見えないマンションでは、7千万円程度で出ていますが、海側はプレミアがつくと話した。

 でも終の棲家としてお考えで、資金的に問題なければ、絶対に、海側の物件を選んだ方が良いと思いますよと、セールスマンが、語った。第一、気分か良く生活できれば、長生きできて、長い間、年金で、暮らして行けますからねと強調した。それを聞き、確かにそうですよねと百合さんが、相づちを打った。

 これを聞き、薄井富一も言われることは、良くわかるとつぶやいた。そして、その様な物件が出たら、電話連絡して下さいと、電話番号をセールスに教えた。そして、ここに決めましょうと、百合さんが言うと、薄井富一が、同意した。その後、中華街で、夕食を食べて、薄井夫妻は、東京のマンションに戻っていった。

 翌週、不動産屋のセールスマンから、桜満開の知らせを聞いて、電車で、薄井夫妻が、横浜へ行き、日ノ出町の近くの大岡川の桜並木を2人で歩くと、数百本のソメイヨシノの桜並木が続いていた。それを終えると、不動産屋のセールスマンから電話が入り以前か見学したみなとみらいのマンションを案内すると電話が入った。

 セールスさんの車に乗り、以前見たマンションからランドマークタワー方面の運河沿いを歩くと、多くの桜並木が、満開で、素晴らしい景色だった。そこで、何枚も写真を撮った。その後、山下公園のしだれ桜、元町の桜の名所を案内してくれた。それを見て、百合さんは。何て素敵なのと感動していた。

 やがて、夏となり暑くなり、涼しい風が吹き出して、寒くなった11月、不動産屋さんから電話が入り2LDK、78平米で海側のマンションが1億2千万円で売りが出てると連絡が入った。
早速、翌日、電車で、みなとみらい駅に行くと、セールスが待っていた。地上18階の海側の2LDK、各部屋が広々していて、2人で生活するには充分な広さ。

 こういう物件は、手付金をうって押さえておかなければ、他の人に買われるとセールスが言うので、いくらと聞くと、500万円以上であればOKと言うので、不動産屋の口座番号を聞いた。もしOKなら、すぐ手付金を入れて下さいとセールスが迫ると、百合さんに、どうすると聞いた。すると買いましょうと告げた。

 それを聞き、言われたとおりに、近くの銀行から不動産会社に手付金を入金し、押さえることができた。その後、その会社の事務所へ行き、売買契約書にサインをして、必要書類を指定されて、郵送することにした。2019年11月19日、薄井夫妻は、東京からみなとみらいに引っ越した。その年、薄井幸一と夢子が、見に来た。

 その時、広いリビングに2つの大きなソファーを入れたので、そこに寝るから、泊まりに来たいと言うので、薄井夫妻は、了解した。そして、2019年12月31日から翌年1月3日まで、薄井幸一と夢子が、泊まりに来た。

「このマンションから見える初日の出を見たとき、子供達は、童心に返ったように、思わず、『わーすげー』と大喜びした」

「それを聞いていた、百合さんが、彼らの幼子の時の可愛い笑顔が、脳裏に浮かび、おもわず、二人の手を握り、感極まって涙を流した」
「完結」
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