第2話 吸血鬼化した国
文字数 2,654文字
「ぐああっ!ああァ!!」
エヴァンとレオは一先ず空き家になってるカルベロッカの民家で、もがき苦しむエヴァンをレオはなだめていた。
エヴァンはこの時苦しみながらもエヴァンはレオに向かって、
「私を置いていけ、レオ!
奴の支配(ハーバー)から逃げられない!
やがて私は君を……ぐふっ!」
地に伏せひたすら苦しみの声をあげるエヴァン。
そんなエヴァンの様子を見てレオはエヴァンの名前を呼び、もだえ苦しんでるエヴァンに向かって、
「しっかり、しっかりして下さい、先生!
俺と一緒にこの国を出ますよ!」
とレオはエヴァンに向かって声をかけ続け、暗闇の部屋の中苦しむ師をなだめていた。
そんな束の間の間、少し時間がたったのだろうか。
やがてエヴァンの体は急にフッと動かなくなりネジがきれたように下を向きうつむいていた。
そして心配そうに見つめるレオに向かってエヴァンは下を向きながらどす黒い声で、
「……だから早く逃げろと言ったのに、レオ。
だが、もう、手遅れだ……」
とこの時エヴァンはレオに向かって低い声で言い、そしてそのまま横にいたレオを力付くでレオの体を押し倒した。
ガッ!!
ぴちゃぴちゃぴちゃ……
「あっ……ああっ……あうっ……」
レオは暗闇の部屋の中で吸血鬼化したエヴァンに押し倒し口を舐められ、味を吟味されていた。
そう、この日は満月でもっとも吸血鬼達にとって一番凶暴になる日。
エヴァンもハーバーに噛まれ吸血鬼の身体になり、ハーバーの発する魔力に操られ、吸血鬼の本能のままにレオを襲いレオの体をたしなんでいた。
そしてこの時のレオの方はと言うと、エヴァンから発せられる怪しい吸血鬼の瞳でまるで夢遊病のように意識を操られ、吸血鬼化したエヴァンによって体を好きなようにされていた。
首の方を少し脱がされエヴァンに体を舐められ感じているレオ。
やがてエヴァンはレオの体がある程度たしなんだ後静かにエヴァンはレオの首もとに顔を持っていき、レオの首もとを鋭く尖った牙で血を飲もうとした。
エヴァンがレオの生き血を飲もうとし首に牙をつきつけようとしたその時、ちょうど部屋の中にあった大きな古時計がボーンと大きな音を鳴らしこの時大時計は部屋中に鳴り響いた。
レオはこの時の大きな音でハッと意識が戻り、正常のレオに戻った。
そして目の前にいる目が真っ赤なエヴァンの姿を見てビックリし大きな叫び声をあげて急いでエヴァンの元から離れようとした。
エヴァンは急いで意識が戻ったレオを押さえ付け声をあげながらレオの首を狙い血を吸おうとした。
だが二人が取っ組み合いをしている最中、レオはあまりの師の変貌の姿を見て咄嗟にエヴァンが腰にぶら下げているエヴァンの剣を抜き、レオは思わず恐怖でそのままぶすりとエヴァンの心臓をそのまま刺し貫いてしまった。
「ぐぎゃあ!アアァ!!」
凄い形相をしてその場で倒れる吸血鬼化したエヴァン。
そして剣が刺さって倒れたエヴァンは、
「……レオ、貴様…」
と憎しみを込めた声を発し、そして仰向けになりながら剣が刺さったまま血を流し倒れた。
「うわっ!あああっ、あああ!!!」
あまりの恐怖で家を飛び出し逃げ出したレオ。
だが家を出た瞬間レオは吸血鬼になったカルベロッカの人々が牙を剥出し国の中で徘徊し、吸血鬼は人間のレオの匂いに気づいて次々とレオに向かって襲ってきた。
バサバサバサ!!
「わあっ!!」
吸血鬼達に取り押さえられ身動き取れなくなったレオ。
そしてカルベロッカの吸血鬼と化した人々はレオを取り押さえながらも次々と何やら言葉を発しその場でひざまずき、この時家の中にいて倒れてるエヴァンの方角に向かってエヴァンの名前を呟くように言い出した。
「エヴァン様……エヴァン様」
人々が次々にエヴァンの名前を言いひざまずいていると、この時家の方からドアの音がガチャっとした。
そして心臓を貫き普通なら死んだかと思われたエヴァンが、そこで胸に刺さってる血に染まった剣を抜き落とし、吸血鬼達に捕らえられてるレオを見てジリジリと近づき、赤い目でレオの顔をギョロっと見た。
エヴァンは長い赤い爪でレオの顔をガッと掴んだ。
そして血に餓えた鋭い牙でレオの首に向かって大きく口を開けると、捕まれたレオはそんなエヴァンの姿を見て涙ながらエヴァンに向かって、
「……やめて、先生。許して……正気に戻って……
俺、俺、
うわあっ!あああっ!」
ぐちゃっ!!
ズズズっ……
エヴァンに勢い良く首から血を吸われ足をばたつかせるレオ。
そしてやがてレオの体はエヴァンの体の前で意識を失いグタっとなり、レオは首から血をツゥーと流し吸血鬼化しているエヴァンの元で倒れた。
「……ハアハアハア。
姉さん、姉さん、一体どこなの?」
カルベロッカの暗闇の町の中で一人走り姉を探している人間の女性。
どうやらこの妹は吸血鬼の手から免れた数少ない者であり、ある時に姉とこの国で生き別れになり、血の繋がった姉を探し回っている最中だった。
そんな今夜吸血鬼が徘徊する町の中で、吸血鬼に見つからないようにお腹が空いたので食糧を手にいれようと暗闇の空き家になっている家に忍び込み入ろうとした。
女性が家に入り忍び込もうとすると、いきなり白い手が隙間の所からスーとその女性を掴みとり、女性は後ろから口を取り押さえられ首を噛まれ血を吸われ倒れた。
「イヤッ!アアァ!!」
女性はこの時白い手で胸を揉まれながら首筋から血を吸われ、ズズズっと生き血を飲まれていた。
そう、この時女性の首に噛みつき血を吸っている相手は肌が青白く変化した吸血鬼のエヴァンであり、そして意識朦朧としている女性に向かって揉んで胸にかぶり付き血を吸っているのは、なんとエヴァンに首を噛まれ吸血鬼化したレオだった。
ズズズっ……
ズズズ、ズズズっ……
ハアハアハア、んっ、ハア……
やがて女性は意識を失い倒れた。
そして吸血鬼化している二人はその横で横たわっている女性から吸った赤い血を舐め合い、二人は美味しそうに舌で味わい二人でぺちゃぺちゃと音をたて舐めあっていた。
月の僅かな光が二人を照らす。
そしてそのまま獲物を得て満足した二人はその場で口を真っ赤にしながら隣で寄り添い、二人は異様な吸血鬼の町で静かにこの日は仲良く寝た。