意外にも、水と緑の街 ①

文字数 2,245文字

 「水と緑の街」なんて謳うと、自然に囲まれた地域の方々からは非難が殺到し炎上してしまうかもしれないけれど(^^;)、東京・下町において、錦糸町地区は水との触れ合いを意識した緑豊かな地域と言えるんです。

 錦糸町付近には川(水路)が多い話をしましたが、単に川をきれいにするだけでなく親水公園やスポーツ・遊びの場として活かす試みがなされています。駅から半径五百メートルの中に、大きな公園が複数ある副都心なんて他にはありません。あっ、上野があった――まぁあそこは一つの《山》だから置いといて――。
 気を取り直して、錦糸町の公園をご紹介しましょう。

 まずは、その名も錦糸公園。
 駅北口から徒歩一、二分で着いてしまう、まさに錦糸町を代表する公園です。駅前の公園と言うと、ちょっとした広場程度を想像されるかもしれませんが、ここは野球グランドやテニスコート、区立体育館のほかに遊具広場やイベント広場を設けた、五万六千㎡を超える墨田区有数の大きな公園です。よく「東京ドーム〇個分の広さ」などと言いますが、東京ドーム1.2個分の広さでした。
 この公園は関東大震災の復興計画の一つとして、国有地の無償貸し付けにより昭和三年に開園されて以来、地元だけでなく近隣から愛されてきました。隣接する精工舎跡地(現オリナス)の再開発に伴い、二年ほどかけて全面改修を行い2011年に現在の形となっています。地元では桜の名所として知られ、改修時にも既存の樹木をできるだけ残す方法を採用したため、ソメイヨシノや枝垂桜が合わせて百六十二本咲く頃は多くの花見客で賑わいます。
 最近では南口駅前広場と同様に、「Pokemon GO」のレアモンスター出現場所として有名になり、昼夜問わず大勢の人が出現していましたが現在はそれも落ち着きました。

 ここは子供の遊び場として、お母さんたちにも人気の場所です。
 小学生でも遊べる遊具から、二、三歳の幼児向けの遊具、ブランコも二種類あって、一つは小さい子が落ちないように工夫されたものだったりと、色々と配慮されているため、近隣の保育園でも利用しているのをよく見かけます。
 休日には芝生広場でレジャーシートを広げてランチを楽しむ姿や、夏には噴水で遊ぶ子供たちも。
 様々な遊び方で過ごす中でも、子供たちの一番人気はロケット滑り台。その名の通り、ロケットの形をした遊具の中にあるらせん状の階段を上っていくと、高さ四メートルほどの滑り台にたどり着きます。プールにあるウォータースライダーのように、これまたらせん状になったチューブの中を滑り降りてくる、というものです。ロケットの廻りにはロープで出来た橋や、アスレチックの様な遊具も繋がっていて、大人が遊んでも楽しい。(子供たちの冷たい視線にめげず、一度だけ滑らせてもらったことがあります)
 実は、このロケット滑り台は二代目。私が小学生の頃も人気の遊具でした。

 当時の遊び場は四ツ目通りに沿って、南(ロッテ会館側)と北(精工舎側)の二つの区域に分かれていて、南側の真ん中にロケット滑り台が立っていました。現在よりももう少し高かった印象で、中のらせん階段を上っていくのは同じですが、滑り台はロケットの廻りを巻き付くように下りてくるタイプです。今とは異なり、チューブや覆いなんてなかったので、ちょっとスリルもあり、ロケット滑り台を滑れるようになったら一人前、みたいなことが子供たちの間では暗黙の了解としてありました。
 上まで昇っていったけれど、怖くて滑れない、なんて子も結構いましたからね。二代目でも小さい子は怖がって滑れない、という光景もたまに見かけます。とても人気があるので中の階段も人でいっぱい。親が迎えに行くことも出来ないので、近くに並んでいた年上の子が一緒に滑り降りてあげる。それが今の子供たちの暗黙のルールです。

 噴水も、現在の地面から直接噴き出すタイプではなく、二十五メートルプールのような人工池の中に三基の噴水があり、定時(確か十二時、十五時、十九時だったような)に合わせて噴き上がるタイプでした。夜にはライトアップされることもあって、綺麗だった記憶があります。この噴水の廻りは低木の茂みで覆われていて、そこにカナヘビやトカゲがいたので捕まえようと遊んだりしていました。
 「トカゲのしっぽ切り」、実際には見たことなんてない、という方も今は多いのかもしれませんね。知ってはいたものの、初めて見たときはちょっとビックリしちゃいます。特にトカゲの子供は、鮮やかで綺麗なメタリックブルーの尻尾をしているので、それがぴくぴくと動いている様は面白いというか、とても不思議。
 現在の錦糸公園は芝生や高木が多く、常に日陰で湿っているような低木の茂みが少ないから、トカゲたちも住み辛いんだろうけれど、どこか近くで頑張って生きてるんだろうなぁ。

 イベントも数多く行われていて、四月の桜まつりやハワイアンイベント、グルメと音楽のコラボイベント・肉音(六月)、ストリートジャズフェスティバル(八月)、すみだまつり(十月)などなど。他にもエスニック料理のフェスだったり、フリマだったり、毎月何かしらやっています。数年前までは、すみだまつりでヒーローショーをやっていたけれど、最近はどうなんだろ……。数十年前は夜の野外コンサートで、紙風船が「冬が来る前に」を歌っていて、実家まで聞こえてきていたのを思い出しました。懐かしいな。

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