プロローグ

文字数 6,751文字

 地球への小惑星衝突に伴う「日本人民共和国」の崩壊後、日本列島は政治的統一を失って分裂し、東京九州を統治する「日本帝国」、埼玉・前橋を占領した「星川共和国」、関西・中國地方を支配する「畿内軍閥」など、複数の地方政権が乱立する内戦状態に突入した。


 日本帝国西海(さいかい)道政府首相として、九州の行政・軍事を指揮する吉野(よしの)(すみれ)は、周防(すおう)長門(ながと)(山口)地域の領有を(めぐ)って畿内軍閥と対立していたが、可能な限りは外交による戦争回避の道を摸索し続けた。しかし、山口地帯が敵方の手に落ちる事を危惧した東京・九州の軍官僚達は、独断の軍事行動で周防屋代島(やしろじま)に上陸し、畿内勢との戦端を開いてしまう。不本意な開戦という現実を突き付けられた吉野首相は、同盟国であるアメリカ軍との連合作戦が予想される中、蓮池(はすいけ)夏希(なつき)を始めとする幕僚達との緊急軍議に臨む。


 このような動きに対し、畿内軍の謀将として山陰・山陽を守護する宇喜多(うきた)清真(きよざね)は、自らの信仰であるムスリム系の人脈をも最大限に駆使して、次なる聖戦の策を着々と進めていた。一方、和平工作の密使を拝命した、日本国教会司祭の須崎(すざき)優和(ゆうな)は、とある修道会の主から送り込まれた若き女騎士と共に、列島の地中海たる瀬戸内海へと導かれる。


 彼ら・彼女らと共に各地を転戦する中で見えて来たのは、西国(さいごく)の海道を血に染めた、稀代の天下大乱であり、その陰影に(うごめ)く、錯乱の魂であった…果たして達は、この戦争の結末を見届け、生き残る事ができるのだろうか…!

西海之役

・原案:八幡(やわた)景綱(かげつな)

・編集:十三宮(とさみや)(アキラ)

 思い返すと苦々しいが、あれが全ての転機だった。

 宰相の座にもたれ掛かり、西日の熱を背に感じながら吉野菫はぼんやりと浮かべた。

 彼女は今一人である。


そして独りぼっちでもある。


宰相の執務室には誰彼の姿も無いが、例え公衆の盛り場に潜り込んだとしても彼女は孤独を味わう事になる。


それは幾重にも巻き付く御用聞きや親しげな顔で甘言を弄する粗方を侍らせていても同じ事であるのが哀れに思わせるほどだ。


かつてこれほどの孤独があったであろうか。


アイドルとして脚光を浴び、政界に出て、華々しい立ち回りを見せた時も、彼女には身内と呼べる者があまりにも少なかったが、それにしても心通じ気の置けない者が居た。


口悪く言い合い気を通じた者さえ居た。


しかし、それは遠く昔の事にさえ思えてくる。

 気は内に抑え、周囲のおべっか使いに顔の面を厚くして一切心を許さず、最近幅を利かせている空軍の青鳥(せいちょう)の機嫌を(うかが)っていた。


今となっては帝国を取り仕切る有力者となった吉野菫は理想社会を目指し政道に邁進したが、帝国の常として国家の大黒柱を自負する軍部の機嫌を取らなければならない不愉快な事情があった。

 星川軍閥の手を借りて討滅された葉山(はやま)円明(えんめい)に与した帝国陸軍の影響力は必然的に減退したものの、(葉山に親しい者も居たが)一貫して帝室護持の立場を守り偽勅挙兵の鎮撫に貢献した帝国空軍は陸軍の減退分を喰って急速に党勢を拡大、一大政治勢力と成り上がった。


但し、古今の常として政治的側面をある程度は持つ事となっていた陸軍という組織とは異なり、個々人の思想信条はともかく、純粋な飛行機野郎か理工系のエリートが粗方を占める空軍には政治を担うだけのノウハウが欠けていた。


そしてそれを唯一人持ち得、鎮撫の立役者としても武名を高めた十三宮(とさみや)(いさみ)が必然的に玉座の傍らに侍る事となった。


吉野菫を担ぎ上げた十三宮勇の武威支配である「青鳥政権」の誕生は列島の行く末にある方向性を与えたが、当の宰相がその有り様を手放しで喜んでいたわけでもないのが帝国に憂いを孕ませていたのである。


現に宰相吉野菫はパートナーである青鳥に真意を見せず、機嫌を取りながら(しば)し様子見を決め込んで、自ら「イエスマン」の役回りを選んだ。


加えて軍閥の長たる十三宮勇の武威を背景に八月事変以前与党であった保守派を制し革新派の勢威を増して諸政策を推進、上手く利用し事を運ばせた。

 自分も随分と人が悪くなった。


笑うでもなく、嘆くでもなく、(ただ)そう思う。


宰相吉野菫としての自分を心掛け、意識を持ち、諸々に神経を研ぎ澄ませ、方々の諸氏を疑って敵意を押し隠した。


宰相とはそういう者であるべきだと思って来た。


しかし、演じる宰相吉野菫という役が実際の自分を犯し始めるに及び、次第に自分へ疑問を持ち出した。

 どうしてこうなったんだろう。

 ふとデスクの右側一番上の引き出しが気になった。


ゆっくりと引き出されたそこには名刺入れや筆記用具等も入っているが一番に目に付くのは皺の掛かった紙製の箱とライターだった。


銘柄が書いてあるが、その違いは分からない。


ただ煙草であるという事だけが分かる。

 吉野菫は箱を手に取ってそこから一本引き抜いた。


覚えたてのぎこちない手付きで煙草を指に挟み、口元に近付け、ライターで火を付けフィルター越しに吸い込んだ。

 肺が一辺におかしくなったような感覚が襲って来た。


思わず()き込み、装飾代わりに小物入れにしていた灰皿に煙草を押し付けた。

 戦利品は今なお苦々しい。

吉野(よしの) アイオライト(Iolite) (すみれ)

「こんな物やるなんて、気が知れないわ」

 吉野菫は咳き込みながら悪態をついた。

 今は遠くに失せた、かつての相棒へ。

 瀬戸内海を囲む西国における、日本帝国九州鎮台大日本皇国畿内軍閥による、宣戦布告なき領土争奪の緒戦は、畿内方にその軍配が上がっていた。


畿内軍閥に従う宇喜多清真は、神戸・播磨(はりま)(兵庫)備前(びぜん)(岡山)を拠点に西漸を進め、遂に山陰・山陽道(中國地方)全域を支配下に置きつつあった。


山陽における帝国最後の砦であった、周防 山口市飯田(いいだ)県令は、宇喜多軍が差し向けたテロリスト難波(なんば)香奈(かな)により暗殺され、畿内派の(すぎ)良運(よしつら)が新県令に擁立された有様である。

 こうした情勢の中で九州軍に必要なのは、瀬戸内の制海権と山陽上陸への足掛かりである。


「日本列島の地中海」である瀬戸内海には、源平合戦から戦国時代に至るまで、様々な大名や海賊が覇を唱え、この海を征する事なくして、天下など夢のまた夢である。


そして周防南東部の防予諸島には、屋代島(やしろじま)(周防大島)という花崗岩と蜜柑(ミカン)畑の広がる島がある。


この島を、如何(いか)なる手段を使ってでも確保する事が、山陽攻略の一里塚であると、日本帝国は判断した。

 九州鎮台の背後には、軍縮と中立を夢見、対外軍事依存を憂うる吉野首相の理想とは裏腹に、数多(あまた)在日米軍が物々しく控えている。


明治以降、ハワイ諸島など多くの海外移民が旅立った屋代島に、再び日米両国の歴史が刻まれようとしていた。

 防長(周防・長門)を巡る陰謀劇は開戦という結果を呼び込んだ。


九州鎮台に派遣されて来た、陰謀好きな東京政府の官僚団の手に乗り、屋代島にて吉見(よしみ)一太(いちた)陸軍大尉率いる部隊が住民の支持を背景に決起した事で屋代島は九州鎮台に編入された。


が、想定の通りに武力行使を決断した山陰陽都督府は旅団規模の部隊を緊急派遣、親東京政府派住民ごと決起部隊を鎮圧して気勢を上げた。

 全ては唐突な話だったが、東京政府の官僚団と鎮台の幕僚達が全てお膳立てした結果だった。
「まるで関東軍(※)のよう」


※1919(大正八)~1945(昭和二十)年の満洲(中華民国 東北部)に駐留していた日本陸軍。独断の軍事行動が目立った。

 吉野菫首相は顛末を知り、嘆息して(はなは)だ失望した。


次第を報告に上がった首相府陸軍副官臼杵(うすき)鑑純(あきずみ)砲兵大尉は強張(こわば)った表情で直立して主人の嘆きを聴いていた。


陸軍参謀本部情報課は官僚団の策動を知りながら黙殺、加えて吉見大尉に接触し火砲数門を島に流し入れたのは陸軍の小倉(こくら)駐留混成旅団、臼杵大尉の原隊なのである。


臼杵大尉は生きた心地がしなかっただろう。


吉野首相は後年そう思った。


臼杵大尉は後に原隊の罪科を償う為に小倉口の死闘の最前線へ出張り、「顔無し」の手に掛かった。


臼杵大尉の死は首相をして陸軍の統制を断行させる、良い「口実」となったが、この時には後日の不幸を知る(よし)も無かった。


結局、角張った顔を更に強張らせた臼杵大尉はひたすら謝罪する羽目になる。

 臼杵大尉を「解放」し、執務室には吉野首相と副官筆頭である蓮池夏希、そして在日米軍から帰化して九州鎮台の軍事・外交顧問となった来栖アルフレッド、空軍副官の有馬晴久少佐、鎮台参謀本部から海兵隊に異動し首相の対陸軍政策を支える為に海兵隊副官となっている馬場資房が残り、軍部の後始末の方策を協議した。
来栖(クルス) アルフレッド(Alfred)

周防大島の守備隊は予想以上だ! 戦意武装ともに豊かで、易々とは行くまいよ」

 来栖顧問が屋代島の地図を見ながら(うめ)いた。
有馬(ありま) 晴久(はるひさ)

「87式自走高射機関砲に90式戦車、か。岡山旅団の装備を見る限り、先年寝返った香川の演習部隊の装備だね。純日本製だ。それを我らのアメリカ製輸入品兵器が破壊する、と。東京の設備局連中の発狂する姿が目に見える。(たま)らないね」

「有馬ちゃん、自重」
 有馬少佐の愉悦を吉野首相がたしなめた。


少佐は横柄(おうへい)にも首相の前でふんぞり返って腰を掛け、首相の言葉を聞き流した。

星川如きの軍閥と妥協せねばどうにもならんのは、ソフト以前にハードの差だ。中共(中華ソビエト共和国)ソビエト(ロシア社会共和国)のスクラップ品を寄せ集めた程度の機甲戦力相手にするから出来上がりもしけてしまう。帝国は(きた)る統一に備えねばならぬのに、予算をたらふく喰った設備局があの体たらくじゃあね、愚痴の二三も口をつくって物だ」

 制止を受けたせいか、言葉の端々から慎重さを投げて言い切った有馬少佐は今度はムスっとした顔で腕組み背もたれに体重を掛けた。


皮肉屋で偏屈、加えて帝国空軍の指揮官に成り上がった「飛行機野郎」である少佐には帝国の現状への強い不満があった。


吉野首相はこの我の強い武官を持て余していたが、東京から派遣され現場部隊にて辣腕(らつわん)を振るうガチガチの極右将校であった(せき)兵八(へいはち)空軍大佐以外の選択肢が無く、登用もやむを得なかった。

 吉野首相は視線を端にズラした。


端から声が掛かった。

蓮池(はすいけ) 夏希(なつき)

「愚痴った所で」

 そう言って煙草に火を付け、有馬少佐の睨みを吐き出した煙でぼやかした。
「設備局のボケがデリートされるわけでも、大島が返るわけでもないだろう。一々口尖らせて、ピーチク抜かして、男の格を落とすなよ、有馬」

「…何を、貴様」

「はい、やめやめ! ミス ハスイケ、無用に煽るのは止めてくれないか?」

 有馬少佐が一瞬で紅顔し、こめかみに脈打つ様が見て取れると、来栖顧問が中腰に立ち上がり両手で灰皿と地図を広げる長机の対岸にいる両人を(いさ)めた。

「…夏希ぃ~」

 ボソッと小声で吉野首相は端へと呻き、内心副官の蓮池大尉に頼った数刻前の自分を罵った。

 蓮池大尉は煙草を吹かせ顔を吉野首相から背けている。


有馬少佐は相変わらず沸騰寸前の赤ら顔で来栖顧問の横目にも気が付かず、対岸の大尉を脇目に睨んでいる。


先程から口を出さない馬場副官は口を結び腕を組んで顛末に関せずといった様である。


元々口数を絞りその代わりに頭の中で計略を練るのが副官の常の有り様で、これと言って普段から変わりの無いのだが、首相からすると、せめてこういう時には一言でも諫めてくれても、と思わないではない。

 外は曇り、午前中だと言うのに執務席後背のブラインドの隙間より日が射さない故か部屋が少し暗く感じる。


湿った外気から午後の天候は容易に想像できたが、乾き尽くした執務室では、何が発端で火が付くか(かえ)って分からなくなっている。


馬場副官が怒り狂った様は見た事が無いが、有馬少佐は以前に出張先の禍津日原(まがつひはら)の学校で大人気なく生意気な女子学生に激昂して殴り掛かって代わりに顧問教員の頬骨にヒビを入れて3か月謹慎を余儀なくされ、蓮池大尉はタブロイド紙のしつこい追跡に堪忍袋を断ち切り記者を公道の真ん中で半殺しにして軍法会議で予備役編入処分を喰らい、一見穏やかそうな来栖顧問も米軍時代には琉球のチーマーの煽りに耐え切れず、10人相手に大立ち回りをして半数以上を再起不能に追い込み、自分も軍を実質追われた。


いずれも輝かしい「実績」を持つ紳士淑女ばかりだから本当に恐ろしく、それらが今眼の前に揃ったのだから最早(もはや)言うまでも無く、戦々恐々とはまさにこの如き様に相違ない。

 結局執務室の口論を端に発したクーデターや政変が起きる事は無かったが、遂に(ろく)な会議にならず各人ピリピリしたままお開きとなった。


吉野首相は別件で話があると伝えて来た馬場副官と共に蓮池大尉を執務室に留めて仕切り直した。

「よくもやってくれたわねぇ、夏希ぃ~!」
「そんな誉めないでやって下さいよ。本人がウザがるじゃないですかァ」

 蓮池大尉は眉間(みけん)(しわ)寄せて迫る吉野首相へ僅かに掛かる様に煙草の煙を吐いた。

馬場(ばば) 資房(すけふさ)

「蓮池様、礼に欠く振る舞いかと存ずるが」

「えぇ、ホントっ! 無礼討ちしてやるレベルよぅ!」
 馬場副官の無抑揚な諫言に乗っかって、煙で咳き込み手で幕を払う内に語気が強まった吉野首相の言葉を蓮池大尉は聞き流して先程まで居た椅子へと腰掛けた。


元々タメの口を利く大尉だが、主人を主人と思わない態度や振る舞いは時にトラブルの火種になりもする。


しかし、それでも首相は重用を続けた。

「で、馬場君は何用があるんだい?」
「ちょっと夏希…!?」
「さっさとやりますよ、ホラ。無駄口は腹みたく引っ込めて」
「だ、誰が下腹パンパンよ!? うっさいわ!」
 手を上下に振って湯気を立てる主を諫めた蓮池大尉は会議の時に広げられたままの地図に指を向けた。
境港伯州(はくしゅう) 境港市)だろ、馬場君?」
「その通りです。ネシアから船が出ました」
 馬場副官は複数枚の写真を地図の上に置き、それを一枚一枚摘まんで横一線に並べた。
「…それは?」
 (ようや)く赤みが取れた吉野首相は馬場副官が店を広げているのに関心を持った。
「先日出航したタンカーの積み荷さ。生きの良い猟犬共でしょ?」

 蓮池大尉が空に煙を吹いて答えると、吉野首相も席に着いた。

「猟犬って…傭兵?」
「Exactly」
 蓮池大尉は地図上の写真の角を一枚爪で弾いた。


二三度回転した写真は吉野首相の手許にやって来て、丁度見下ろす所でピタリと止まった。

「アラブ人?」
「いや、ジャップ。風体はパレスチナのお偉いさんみたいだけど。元商社マンでね。湾岸戦争の折に見た戦争で狂ってしまった、残念な奴よ…って言われてるね」

 蓮池大尉はもう一本煙草に火を付けた。

「どゆこと?」

「ん? ああ、実はね。どうやら嘘っぽいんだ。実は家業だったんじゃないかって風の聞こえもある」
「家業ねぇ…」
 蓮池大尉の言葉に吉野首相は不思議そうな顔をした。


軍人家系というのは聞いた事があるが、傭兵家系って言うのは聞いた事が無いのである。

「昔のスイスじゃあるまいしって顔だね」
「聞き覚え無いもの、そんな話」
「識見を広げてもそりゃあねぇ。アングラそのものだから、自学自習にはちょいとハードルが高い」

 蓮池大尉はいつの間にか短くなった煙草を皿に押し付けた。

「ああ、しにくい」
「マグカップはよしなさいね。楽でしょうけど、始末に悪い」

「私がやるんならいいでしょうに」

 ふんっと鼻から小言も交えて吹き出し、蓮池大尉は意味も無く煙草を灰皿へ強く押し付けた。
「馬場君も何か言って頂戴」
 吉野首相は苦笑しながら馬場副官に話を振った。


副官は首相を一瞥(いちべつ)し答えた。

「御両人の仲に入り込むのは野暮というモノでしょう。誘われても躊躇(ためら)います」

 馬場副官は抑揚も無くそう告げると、先を促すように手元の資料を一部ずつ吉野首相と蓮池大尉へ差し出した。
「…ブレないのね」

 吉野首相は独り言を言った。

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登場人物紹介

【空界月姫】はすいけ なつき

蓮池 夏希

西海道 筑紫県 筑後郡 八女市


 日本国民軍九州鎮台府、参謀科大尉。北九州蓮池冬弥に養育された後、日本国民軍に志願した。九州を統治する吉野菫西海道政府首相の側近として彼女を良く支えるが、不遜な言動で口論を招く事も少なくない。かつて「吉野五人衆」と呼ばれた九州鎮台総督、江上 護智斎 慶也機甲中佐の娘。


―ただ「愛してくれた」人のために―

【万物流転】なかうら Agatha まなみ

中浦 アガタ 愛美

西海道 肥前郡 島原県 平戸市 生月町


 日本天主教会に出没する、謎に包まれた修道女。「救世旅団」と呼ばれる武装修道会の主人であり、共産主義者らへの白色テロ(赤狩り)を繰り返してきた、中浦家の傭兵組織である。彼女自身も、医学や武芸に強い。瀬戸内海の戦いでは、十三宮聖須崎優和に協力する。幕下に家所花蓮(いえどこ かれん)・沼田忠吉(ぬまた ただよし)らが居り、代理人の指導者も存在するらしい。八洲家の宇都宮宗房(うつのみや むねふさ)と取引し、暗躍させる事もある。


―愛なかりせば堕ちたる者―

【地平天成】じみょういん ひでくに

持明院 秀國

関西州 河内府 摂津郡 大坂市 中央東区


 方広院和泉の弟で、近畿(関西)地方を統治する畿内軍閥の皇帝。京都の名門である藤原近衛(ふじわら このえ)の末裔で、出自相応の優れた人格と実力を以て東京政府と対峙する。


「我が誉は平らかなる世の為に」

【令月風和】うきた Amir きよざね

宇喜多 アミール 清真

関西州 播磨県 摂津郡 神戸市 兵庫区


 中國地方を治める山陽軍閥の指導者で、アラビアの一神教(回教)に帰依している。浮田郷家(うきた さといえ)の兄。


「個は全のため、全は個のため。願わくは我らを導いて、正しき道を辿らしめ給え」

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