第3話―B(とあるリスナー)

文字数 568文字

 さて、のんびり聞いている場合じゃなかった。私は私の準備をしないと。出発は明日なのに、ほとんどできていない。
 三日間の着替えと財布。スマートフォンの充電器に、念のためモバイルバッテリー。あとは……。
 ああ、お守り代わりに、この前作った黒猫のぬいぐるみと、お気に入りの文庫本も持っていこう。
 「お金が無いのに」、「そんな暇あったら働いて」、「できるわけないでしょ、やったことないのに」などなど、文句を言う家族を、なんとか説得して念願の一人旅。地元の駅までは、家族に車で送ってもらうしかない。まさか、この大荷物を持って、自転車で行くわけにもいかないし。免許はあるが、色々と理由があって、車はない。
 たぶん、これが毒親ってやつなのだろうか。やりたいことあっても、色々と理由つけて我慢しろって言うし。……まぁ、いいか。しばらくは離れる訳だし、明日からの旅行を楽しもう。
 実は、家族に内緒で数日前に仕事を辞めたので、三日といわず一週間くらい旅してもいいのだが。そうなると、旅費やら泊まるところの確保が心配になる。今回やってみて、大丈夫そうなら次回は一週間にしよう。
 ああ、荷物を忘れてた。……使うか分からないけれど、メモ用に無地の文庫本とボールペン、あとシャーペンも持っていこう。予定より大荷物になった気がするが、たぶん持てるだろう。
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