#2 アリとキリギリスの寓話

文字数 405文字

 アリは働き者だった。
 夏の炎天下でも列をなして食料集めに奔走し、毎日毎日蓄えを調達していた。
 それはもう備えのためにそのほかの季節を過ごしているといってもよいほど休みなく働いた。
 たまに人間が仕掛けた毒入りの餌を持ち帰って、巣ごと全滅させてしまうドジなアリもいたが、女王アリを中心に身内を増やし、寝る間も惜しんで働いたのだった。

 一方のキリギリスは青々と茂った草をふんだんに食べて、その日その日を楽しく過ごしていた。
 思わず鼻歌なんか鳴らしてしまうほどのんきな暮らしぶりだった。

 そして、冬が来た。
 アリは地道に集めた蓄えで細々と暮らしている。
 ところが、キリギリスときたら夏以上の派手な生活ぶり。
 思いつきで口ずさんだ曲を動画に撮ってネット上にアップロードしたら、たちまちにして話題となったのだった。
 おかげで左団扇の毎日。

 人生なんてそんなものだと、この話は教えてくれている。
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