第12話 修学旅行の班を決めるよ

文字数 2,043文字

固まった愛に、俺は言った。
おーい?冬月さん似てる似てるって言われてたんだから、実物でも、そんな驚くことないだろ。


それに冬月さん自身が当寺の記憶がないんだしさ。


愛は友達第二号なんだぞ。そんな驚いててどうすんだよ。

俺にそう言われると、愛が我に返った…
あ!ごめん。なんかびっくりしちゃってさ。


冬月さん話してくれてありがとう。


ちなみにさ、私も今度冬月さんの家にあそびに言ってもいいですか?

はい。何もない家だけど…ぜひ。


愛さんは料理するのか?

私は料理は実家暮らしだから全然だよ(汗)お菓子たまにちょこっと作るくらい。


ちなみに龍一君が、昨日あそびに言った時は一緒に何食べたの?

カレー作った。愛さん、好きなもの作る。
ほんとに?!ありがとうございます。


楽しみにしてます。今日、学校で修学旅行の班決めるんだってさ。


よかったら、冬月さん一緒の班にならない?

いいの?私、愛さん以外の人と上手く話せないかもしれないけど…
大丈夫だよ。女子は私が間取り持つし、男子は龍一君が間取り持ってくれたら、きっと冬月さんにとって楽しい修学旅行になりそうな気がするんだ。


ちょっとフライングだけど、私、冬月さんのお友達第二号でしょ?


一緒に楽しもうよ。

楽しみ♪
(修学旅行か。冬月さんと愛が同じ班になるなら、酒井さんもたぶん同じ班だろうから、俺が同じ班なら明ともう一人誰か入れば6人の班か。ってそしたら俺は愛と同じ班で修学旅行ってことか!ありがとう冬月さん!)
俺が少しニヤけてるのを冬月さんにチラッと見られた…


シャキッとし直す。

学校に向かいながら、俺はほとんど、喋らなくても、冬月さんと愛は話続けた。


冬月さんも少し言葉が変な時もあるけど、頑張って気をつけて話しているが、身についてきたのか、最初ほどはひどくなくなってきた。


愛も、友達第二号となって喜んでいるのか、記憶のない過去のことにはほとんど触れずに、普通の話題しか出していなかった。


学校につくと修学旅行の班を決めると言うことで、結構ガヤガヤ賑やかだった。

愛と冬月さんは先に二人で、教室に入り、その後ろを俺が教室に入って席に着くと、俺の席に明がやってきた。
おはよう龍一。お前は冬月さんとも坂木さんとも一緒に登校なんて、羨ましすぎるぞ!


修学旅行の班、龍一は俺と組むよな?

まぁ、言わなくても、明は勝手にわかってくれてると思ってた(笑)


でも、俺と明だとあと一人足りないよな?


班って男女3人ずつだろ?

いや、男子をあと一人考えるのなんてそんなに難しくないだろ?


問題は俺と龍一と誰か冴えない男子のパッとしない3人組男子と組んでくれる女子3人がいるかどうかだろ?


声かけて嫌がられたら、傷つくだろ?


そっちのほうが心配だよ俺は…

それなら、多分、愛と酒井さんと冬月さんの女子と俺達だと思うけど?


朝軽くそんな感じの話をしながら来たんだけど?

マジか?!俺も冬月さんと話す機会が出来るのか?!


龍一は他の奴らより、冬月さんと仲良さそうだもんな!


坂木さん、とも幼馴染だし、パッとしないクセに花形の女子と仲良いから助かったよ(笑)


俺の話とかする?

え?明の話?
そう。俺の話。
意地悪しようとか、悲しませようとかじゃないからな。俺は明にそんなことしたことないだろ?


話に明が出てきたことは一度もない…(笑)

マジかよー(汗)


とりあえず、班決めて一緒だったら、冬月さんにちゃんと俺のこと紹介しろよな。

そのつもりだったけど?
そうか。龍一はいい奴だな。


修学旅行が俺は楽しみになってきちまった(笑)

そう言うと明は自分の席に戻って行った。


冬月さんは早速愛に連れられ、堺山の席に行き、愛に紹介されている。


きっと冬月さんは話し方さえ変えれば、他の女子達とも仲良くやっていけそうな気がする。


あの容姿で、スポーツだってずば抜けてるし、勉強だってもともとは頭いいはずなんだから、ちょっと勉強したら、すぐ良くなるはず。


そしたら、男女ともに人気者になって、冬月さんはここの高校に来てよかったって思えるはず。

(もし、そうなっても、俺と友達でいてくれるのだろうか…そうなった時、俺と一緒にいるメリットは冬月さんにはないはず…)
そう思うと少し寂しいというか、なんともいえない、気持ちになるような気がしたけど、転校してきて、心細いより、よっぽど本人にとってはその方がいいよなと思うことにした。
先生が来て修学旅行のプリントが配られる。


班を決めてくださいと言われると、隣の席の冬月さんが、俺の席に机をゴンっとぶつけてきた。

(初日、キモいから近づくなって俺にいってたよね…?)
班、一緒になってくれるよね?
もちろん。
すると愛も冬月さんに机をくっつけた。


酒井さんと明もこっちにやってきた。


愛の隣の席の神谷はみんなから一緒の班になろうと誘われていたが、ゴメンゴメンとか言いながら、俺たちの方へ来た…

俺もこっち混ぜてくれないかな?
班を決めることで賑わっていた教室が、神谷の行動によりシーンとなった…


酒井さんは嬉しそうだけど、明と俺は正直びっくりして、言葉が出ずにいた…

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登場人物紹介

上田 龍一(うえだ りゅういち)

城西高等学校2年生

成績、スポーツ、容姿全てが平均的男子。同級生で同じ高校で同じクラスの坂木 愛(さかき あい)に恋をしている。

冬月 千春(ふゆつき ちはる)龍一のクラスへの転校生。

両親離婚前は白石 千春(しらいし ちはる)

元アイドル。そして記憶を失くしている。

坂木 愛(さかき あい)城西高等学校2年生。龍一と同じクラス。


目立つタイプではなく、あんまり人の輪に入ることが得意ではないが、容姿が良いため男子から密かに人気がある。

酒井 真美(さかい まみ)。龍一のクラスメイトで、愛の親友。

佐藤 明(さとう あきら)。龍一のクラスメイトで親友。

神谷 俊(かみや しゅん)。龍一と同じクラスで学年一のモテ男。性格もイケメン。

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