19 掴んだ唯一の手がかり
文字数 2,514文字
リバーサイドタウンの中心部に足を踏み入れた三人の剣士は、ソウルウェポンを持っていそうな剣士を見ていないか手当たり次第に尋ねた。
だが、「オルティスの母親」と称するキャラ以上に有力な手がかりを持っていそうな人はおらず、そもそもどの人もソウルウェポンという言葉が何を意味するか分かっていない様子だった。
広場に集まったトライブとソフィアの口から、同時にため息がこぼれる。
すると、ゆっくりとした足取りで戻ってくるリオンが二人の視線に映ってきた。
リオンは、首を横に振りながら二人の女剣士の顔色を伺っている様子だ。
リオンが、自信なくなってくるのも分かる気がする。
これだけ人がいるのに、私たちに情報を流そうとしない。
そんなゲームのキャラ、たぶん割合的に多くないような気がするのに……。
もしかしたら、私たちにだけ情報を流さない「キャラ」なのかも知れない。
いや、俺は普通にオルティスとかアーディスとか見かけなかったか、って聞こうと思ってるよ。
今のところ、ソウルウェポンを持っていそうな剣士は俺たち以外だと二人しかいないし、ゲームの中で目立つような気がする。
それに、ソフィア。
両方ともこの世界で戦ったことがあるんだろ?
ソフィアが、小さくうなずく。
どちらにも負けていることもあって、その表情はソフィアの脳裏にはっきりと浮かんでくるのだった。
私、外見の特徴とか言って、もう一度説明してみる。
もしソウルウェポンを持ったままこの街に入ったのなら、入口のところであの家に止められることだろうし、意外とそれもあってここでは剣を出していないだけなんじゃない?
それから三人の剣士は、リバーサイドタウンで情報を掴んでそうな人々にもう一度尋ねた。
そして、1時間近く経った後、三人は再び広場へと集まった。
トライブがソフィアに顔を向けると、ソフィアはやや恥ずかしそうな表情を浮かべてうつむいていた。
リオンが下からソフィアの顔を覗き込むと、ようやくソフィアは首を持ち上げた。
トライブは、「ゲームマスター」に初めて出会ったときのことを思い出し、その表情のまま夜中暴れる姿を想像した。
すぐに、トライブの表情が曇った。
リオンは、そう言いながら腕を組んだ。
その横で、すぐにトライブも小さくうなずく。
三人は、リバーサイドタウン中心部の宿屋に泊まり、交代で占い師の家の近くを見守ることに決めた。
足取りは、何故か軽かった。