観察日誌:2044年1月4日

文字数 330文字

 歳が明けてからの最初の実験が終わった。
 1日の殆どを関係部署への挨拶とメールのやりとりで潰したが、午前中に昨年末に観測された太陽の元となる恒星を初日の出に見立てて皆で拝み、伊豊の作った雑煮を食べるというのんびりとした実験だった。
 
 太陽の元が出来たことでこれから太陽系を作っていくのだが、地球ができる確率は25mのプールに時計を分解して入れ、それをかき混ぜて再び元の形に組み立てるのと同じ確率と言われている。
 地球を作れたとしても、必ずしも我々の世界と同じ歴史を辿るという補償は無いため、実験の成功はさらに確率が低いものになるだろう。
 GBPという有機スーパーコンピューターのお陰でここまでの演算はスムーズに来れたが、ここからが本当の正念場である。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

戸隠顕子(とがくれ けいこ):実験室の室長。十年かけてこのプロジェクトの発足を成功させた。

内有布袋(ないある ほてい):戸隠顕子の後輩。有機スーパーコンピューターGBP(Glitter Black Polyhedron)を所持する企業からの外部協力者。

伊豊貞衣(いほう てい):内有布袋の彼女。研究室のメンバー。

野倉舞(のぐら まい):研究室のメンバー。内有と伊豊と同郷。

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み