(一)

文字数 229文字

 顔に白い布を被せられた父の体は既に冷たくなっていた。体と布団の隙間からはドライアイスが蒸発する水蒸気が漏れていた。その脇で、母と妹が涙目になりながら俺と父の対面を見守っていた。
 父が倒れたと電話で連絡を受けて急いで帰ってきたものの、間に合わなかった。

 母が言うには、父は仕事中に職場の廊下を出たところで倒れていたそうだ。同僚が慌てて体を揺り動かしたが、意識がなかったという。すぐに救急車が呼ばれて病院に搬送され、そのまま入院し、その夜、亡くなった。

(続く)
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