第5話 雑念ラジオ③~やっぱり俺じゃだめですか?~
文字数 804文字
俺が監視しているせいなのか、村瀬さんは照井と距離を置くようになった。
服部はどんどん天宮さんと仲が良くなってきている。
村瀬さん、そろそろ少しくらい俺の気持ちを汲んでくれてもいいんじゃないか。
村瀬さんが食事を終え、部屋に戻る途中を忍び足で追いかけた。
「村瀬さん、やっぱり俺じゃだめですか?」
村瀬さんの少し怯えた目。その目を見ると正直ゾクゾクして、少しいじめたいような気持ちが湧いてくる。
村瀬さんはワンテンポ置いて、小さい声で言った。
「あの、諒君、百川さんが戻ってくるの」
「……」
「こっちで公務員になるって。だから、ごめん、成田君とは付き合えない。成田君のこと、我慢強くて男らしいって思っていた。これは本当よ」
「……わかった」
俺は盛大にフラれた。
雑念は大きな黒い川になった。
その流れを見ていると平常心ではいられなくなるので、俺はオオツボ模型に行き、木のミニチュアをせっせと作った。泣きながら。
オオツボ模型の面々は、俺が情緒不安定だということは認識してくれている。
一度泣いている理由を中村さんから聞かれて、
「ずっと3年くらい片思いしていて、全然上手くいかない」
と正直に答えた。中村さんは驚いた風に、
「ナリちゃんみたいなイケメンなら、そんな苦労しないと思っていた」
と言ったので、俺は首を横に振り、
「俺、自分の顔嫌い」
それからみんなは小声で「じゃ、取り替えてくれ」とか言った。
たんぽぽ食堂では品行方正にしている俺だが、ここでは素になれる。俺は服部さんと同じくらい泣き虫だったので、自分で自分に驚いた。
広樹君がティッシュペーパーを箱ごと持ってきてくれた。そして、俺の背中を小さい手で優しくさすってくれた。
広樹君がパニックになりそうなとき、俺がしてあげたことを覚えていてくれたんだ。
そんなことされたもんだから、俺はますます涙が止まらなくなって、困った広樹君はとうとうハンドタオルを噛んでしまった。
服部はどんどん天宮さんと仲が良くなってきている。
村瀬さん、そろそろ少しくらい俺の気持ちを汲んでくれてもいいんじゃないか。
村瀬さんが食事を終え、部屋に戻る途中を忍び足で追いかけた。
「村瀬さん、やっぱり俺じゃだめですか?」
村瀬さんの少し怯えた目。その目を見ると正直ゾクゾクして、少しいじめたいような気持ちが湧いてくる。
村瀬さんはワンテンポ置いて、小さい声で言った。
「あの、諒君、百川さんが戻ってくるの」
「……」
「こっちで公務員になるって。だから、ごめん、成田君とは付き合えない。成田君のこと、我慢強くて男らしいって思っていた。これは本当よ」
「……わかった」
俺は盛大にフラれた。
雑念は大きな黒い川になった。
その流れを見ていると平常心ではいられなくなるので、俺はオオツボ模型に行き、木のミニチュアをせっせと作った。泣きながら。
オオツボ模型の面々は、俺が情緒不安定だということは認識してくれている。
一度泣いている理由を中村さんから聞かれて、
「ずっと3年くらい片思いしていて、全然上手くいかない」
と正直に答えた。中村さんは驚いた風に、
「ナリちゃんみたいなイケメンなら、そんな苦労しないと思っていた」
と言ったので、俺は首を横に振り、
「俺、自分の顔嫌い」
それからみんなは小声で「じゃ、取り替えてくれ」とか言った。
たんぽぽ食堂では品行方正にしている俺だが、ここでは素になれる。俺は服部さんと同じくらい泣き虫だったので、自分で自分に驚いた。
広樹君がティッシュペーパーを箱ごと持ってきてくれた。そして、俺の背中を小さい手で優しくさすってくれた。
広樹君がパニックになりそうなとき、俺がしてあげたことを覚えていてくれたんだ。
そんなことされたもんだから、俺はますます涙が止まらなくなって、困った広樹君はとうとうハンドタオルを噛んでしまった。