秘剣<影流>
文字数 1,880文字
伊賀、甲賀、柳生などの忍者の里で育った武術の流れを汲むのが秘剣<影流>であった。
<影流>は柳生新陰流の源流と呼ばれていて、<陰流>に名を変えて時に上泉信綱に伝えられて、<新陰流>となった。
倭寇の刀術だとも言われていて、開祖は日向の愛洲久忠(愛洲移香斎)は明の時代の成化二十年(文明十六年頃)に北京紫禁城に赴き、皇帝の直属軍・御林軍(近衛兵)に「影流」を指導していたという記録もある。
倭寇と戦った明の将軍、
倭寇の大太刀を模して造られた
それだけ、倭寇の刀術、体捌きが優れていて研究されたということである。
抜刀術の構えから天海の黒い闇色の<膝切>が煌めき、マリアの白銀の<十字剣>がそれを巧みにさばく展開が続く。
技量においては全くの互角であるが、天海の頬に汗が伝っていた。
が、マリアの方は余裕をもって捌いている。
少し天海の方が分が悪いと感じはじめていた。
マリアも同様に間を取った。
マリアの圧倒的な気が空間に満ちていく。
マリアは不可思議な呪文を唱えつつ、白銀の<十字剣>を弧を描くようにゆっくりと振り下ろした。
白銀の閃光が天海に襲いかかる。
天海も漆黒の<膝切>をゆっくりと振り下ろす。
と叫ぶと、<膝切>から無数の闇色の三日月形の光がマリアに向けて放たれた。闇の輪郭が淡く光を放っている。
それがマリア放った白銀の閃光を押し返して侵食して空間を闇色に染めていく。
今のところ、一進一退を繰り返して互角の勝負になっているようだ。
通信スクリーンに映った信長の瞳が怪しく光る。
<魔神眼>発動中らしい。
おそらく、信長の恐るべき目にはマリアの放つ閃光がはっきりと捉えられてるに違いない。
信長の<魔神眼>が何かを捉えたようだ。
信長の式鬼<
その視線の先には雲の隙間から双翼をもつブーメラン型の漆黒の巨大飛行物体が現れた。
突如、巨大飛行物体から光が放たれ、<ベアトリスナイト>たちが浮遊してそこに飲み込まれていった。
晴明が自分でも驚きつつ謎解きしてくれた。
上空からリカルド・バウアーの
次の刹那、<ブラックナイト>から神の光のようなものが放たれてメガネ達の機体を包んだ。
ボトムストライカー隊が一斉に膝を折った。
機体がどうしようもなく重く、身動きができるものはいなかった。
凄まじい重力波がメガネ達を襲っていた。
信長の式鬼<
絶体絶命の危機にメガネ達はなす術を失っていた。