鬼が島のはいりかた。(あれ、こっちが正義サイド?)

文字数 1,086文字

教会から、歩いて5分。
実はとっても至近距離な、トラじーちゃんたちの家についた。
まずは、『誘ってみるなら子どもだけの方がいいじゃろ』との
トラじーちゃんの案で、ここにいるのは俺たちだけ。
家中の電気が消えてて、二階の一室だけ、明かりがついている。
あそこが樹太郎くんの部屋かな?
「だけど、どうやって呼ぶんだよ・・・俺がピンポンしても、
 一度もでてきてくれたことないんだぞ・・・」
「わたしが、おどってみるとか。」
「ヒマワリちゃん、それ、あまのうずめ、かな?」
ひまわりちゃんとゆりさんの会話がわからない・・・!
「石を投げてみるとか。」
「ヨウイチ、タブンソレ、犯罪ヤデー!」
ダリアがかなりのエセ関西弁でつっこみをいれた。
「ぼたん、こういうの、得意だよ!」
まさか。
すぅ。
「(大音量)じゅーたーろーくーん!! ばいぶるきゃんぷ、いこー!!!」
   
あ、あwwww・・・!!!
田舎とはいえ、離れたご近所さんもいるんだからさぁぁぁ!!!
まだ少し明るいとはいえ、時間帯は夜なんだからさぁぁ!
なのに、おお・・!その手があったか・・!と、
全員で、声をかぶせる。
「「「「「じゅーたろーくーん!ばいぶるきゃんぷ、いこー!!」」」」」
やめ、やめてあげろください。
じゅたろうくんの名前に、『ばいぶるきゃんぷ』って怪しげなネーミングつけて
大声でよぶの、やめてあげてください。
「「「「「じゅーたろーくー・・・」」」」」
「あ!今、窓からこっちみてたよ!!!」
当たり前だよ。

あまりにも、彼がかわいそうなので、
とりあえず、みんなには、家にかえってもらった。
葉一とゆりさんは電車の時間が近いのでそのまま駅へ、
(葉一が女の子と二人で帰る、シチュエーションに喜んだのはいうまでもない。
  ー単に、同じ電車に乗る間だけのことだったとしても。)
ダリアとぼたんちゃんがひまわりちゃんを家までおくり届けてから
教会にもどり、教会に仕事が終わったぼたん母が迎えにくることになった。
 
そして、俺が一人、樹太郎くんがいる、この家の前にのこった。
・・・どうするか、とか、深く考えてなかった。
ただ、トラじーちゃんが家の鍵をわたしてくれた時の顔。
タケばーちゃんの、俺たち学生をみる寂しそうな、目。
教会で、わいわいバイブルキャンプ打ち合わせをしていた、楽しい時間も、
樹太郎くんはひとりぼっちだったんだな、って考えたら、
なんか、なんか、胃のあたりがキューっとして、切なくて、
なにかをしたくなった。
(決して、カレーが恋しくて行動したわけじゃないぞ・・・)
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