第14話 お菓子の国の妖精

文字数 926文字

○都内一等地、Sugar内科クリニック

都内の一部上場企業に勤める、働き盛りの佐藤健一(36)は、全身に倦怠感を覚え、内科クリニックを訪れた。

(佐藤)先生、まだ三十代の中盤だというに何か疲れやすくなったんですが..,
(主治医)佐藤さん...あなたは血糖値が非常に高くなっています。

所謂糖尿病ですが、当面はインシュリン注射は見合わせて、食事療法で様子を見てみましょう。

チョコレートやお饅頭などのスイーツは控えて下さい。

スイーツは私の人生の生き甲斐みたいなものでしたが、

そうですか、糖尿病ですか。残念です。

仕事の後のスイーツは自分への褒美だったのに。

傷心の想いで、クリニックを後にする佐藤。
○それから一か月、佐藤の自宅

佐藤は、社での激務を終え帰宅した。

(佐藤の妻)あなた、冷蔵庫にあるスイーツは全部わたしのだからね。ダメよ、あなたは糖尿病なんだからね。
はーっ、勤務後にはやはり甘ーいチョコレートが食べたいなぁ。いちごショートも堪らんのだが。はあ。

でも、我慢我慢。

食事後に一人書斎に籠る佐藤。11:30pm
一週間後には、社の幹部にプレゼンだ。

昇進がかかっているから、馬力をかけて企画書を仕上げないと。

ミネラルウォーターを口にしながら、企画書に精を出す佐藤。
12:00pm

人の気配を感じ、背後を確認する佐藤。

だっ、誰だキミは?

何処からきた?

ワタシは、妖精シュガーハニー。

お菓子の国からやって来た。

そ、そのシュガーなんたらという妖精がオレに何の用だ?
最近、甘ーいお菓子を食べないそうじゃないか。

食べればいいだろう、ほら冷蔵庫にある。

欲しいんだろう?仕事の後のご褒美が。

おまえだったのか、俺の脳髄にスイーツを食べるよう誘っていたのは。お陰で糖尿病になったじゃないか。

もう、甘ーいカフェ・オ・レはお終い。ミネラルウォーターか緑茶。お菓子は一切やめたんだ。だから、消えな。

ふっ。
消えてゆく、妖精シュガーハニー。
○それから、一週間後。Sugar内科クリニック。
佐藤さん、血糖値が見事に下がり正常化しています。

こんなに早く食事療法の成果があがるなんて、何かありましたか?

はいっ、お菓子の国の妖精と話をして追い返してやりました。
はっ?今度は精神科で診てもらった方がいいですね。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色