第5話(1)

エピソード文字数 1,529文字

《中継をご覧の皆様、ついに始まりまSUっ。決勝戦ですYOー!》

 次の日の正午。俺達は巨大な神殿の中にいて、白金族チームと対峙していた。
 ちなみに相手のメンバーは、魅条さん(18歳)、王子様然とした神蔵王器さん(16歳)、文学少女チックなおさげ髪少女・火鉈春子(ひなたはるこ)さん(17歳)。それにやせ型でモヒカンの狂島豪太(くるしまごうた)さん(25歳)と、相撲取り体型の雲竜道彦(うんりゅうみちひこ)さん(28歳)だ。

《今回の戦場は遮蔽物が多い、テクニカルな神殿フィールドだZE! 頭も使った素敵なバトルを期待してるBEー!》

 俺らの周りには大きな柱が何本も立っており、やや動き難いしこの太さなら並みの攻撃は止まってしまう。ここに魔王と勇者と伝説の魔法使いがいなかったら、そういう戦闘になっていたことでしょう。

「……キミ達が、最後の相手ですか。清く正しい戦いをしましょう」

 神蔵さんが腰につけてる鞘から剣を抜き、爽やかに微笑む。
 うわっ。柑橘系の香りがすると錯覚しちゃう、すさまじい王子様フェイスだ。

《色紙さん。よろしくお願い致します》

 王子様オーラに圧倒されていると、魅条さんからの口パクが到来した。
 はい、オッケーです。それじゃあ皆、大芝居をおっぱじめますかっ。

「……清く正しい? バカ言え。戦いにそんなのいらねーんだよ」

 スタートは、わたくし。不肖色紙優星が先陣を切ります。

「なっ……! キミは――」
「なんだかんだで、一回も血まみれに出来てねーかんなぁ。戦いの世界を知らない御坊ちゃんに、現実を思い知らせてやるぜ」

 戦いの世界を知らない優星ちゃんがサディスティックな冷笑を浮かべ、ペッと唾を吐く。
 ちなみにちなみに、唾吐きは先方の希望です。あちらも自分と同じで、唾を吐いとけば悪く見えると思う人達でした。

「…………テメェ、オレらのリーダーを舐めてんだろ……! そういう輩はゆるさねぇ……っ!」

 シナリオ通り、狂島さんが憤怒の形相で反応。手に嵌めているメリケンサックを、ガチガチとぶつけ合う。

「審判、ゴングを鳴らせ。魔王使いなんざ瞬殺してやる」
《りょ、了解だYO! 全次元最強決定戦チーム部門、決勝戦の開け幕DA!》

 鐘の音がカーンと響き、それと同時に狂島さんが仕掛ける。

「色紙優星っ! オレ様がミンチにしてやらぁ!!」(口パク 色紙さん、そんなつもりはありませんからね? お気になさらないでくださいね?)

 1000年間犯罪0の一族だけあって、彼は即座に謝罪。心ではとっても気に病みながら、敵が突っ込んでくる。

「……俺の獲物は、そこの王子様と決まった。雑魚の相手はお前らがしろ」
「はいぜよっ。『黄(き)の遊戯(ゆうぎ)』!」

 フュルの手から雷を纏った球体が飛び出し、ソレに当たった彼は――バリバリバリバリ。それはもう激しく感電する。

「あ! があ! あ、が、ああ……っ」
「ごっ、豪太さん! 豪太さん!!
「………………す、みま、せ、ん……。神蔵、さま…………」

 狂島さんは全身黒こげになり、プスプス煙を上げて地に伏せた。
 注 この人は特殊な訓練を受けており、更には絶縁素材で作ったランニングを何十枚も着込んで威力を抑えています。良い子も悪い子も、真似をして遊ばないでくださいね?

「そ、そんな……。十一勇士の一番弟子が、たった一撃で倒れるなんて……っ」
「予想以上ですね。手強い、です」

 神蔵さんが青ざめ、すぐさま魅条さんが不安を煽る。が、まだまだ窮地とはいえない。もっともっと状況が悪化して精神にストレスがかかるよう、次の手を実行しましょう!
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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