【戯曲】闇の左手(ル=グウィン原作/オリジナル訳に基づく二人芝居)
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文字数 353文字
オポッセ・サーン。
オットーメンボド、二十六日。ひきつづきブリザード。今日もまったく進めず。
ハースは砂糖水だけ飲んで寝てしまった。食糧を節約して、その分僕に食べさせようとしているのだ。ありがたいが、やりきれない。
吹雪のち晴れ。17キロ。難行軍。行けども行けども岩。
そりに車輪をつけたが、石にはさまり車軸が曲がる。
かかとの筋を痛めた。一晩寝れば治るはずだ。
ソードニ、第二日。みぞれ、6キロ。
鼻と耳を凍傷にやられる。ハースが驚いてマッサージをしてくれた。
ベレン、第七日。終日夕暮れのようだ。
降りしきる火山灰のせいでのどがざらつく。深紅の花のような火山の炎が、闇にひろがる黒雲をにぶく照らしている。
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ゲンリー・アイ地球出身。惑星同盟《エキュメン》の特使。惑星《冬》ことゲセンに単身降り立ち、カーハイド帝国の皇帝に開国をうながす。長身。性格は誠実で直情的。推定される容貌はアフリカ系。男性。
セレム・ハース・レム・イル・エストラヴェン