第24話 脱落している日本

文字数 883文字

(変わらないと脱落の違いを考えます)

日本の社会は30年間、「変わらない日本」であると言われてきました。

これは、賃金や1人当たりGDPが変化しなかったことを意味しています。

しかし、時間微分(変化率)に注目すれば、違った世界になります。

微分方程式で考えれば、重要な変量は、時間微分または、2階の時間微分です。

力学の場合には、距離の時間微分は速度になり、速度の時間微分は加速度になります。

同様に考えれば、1人当たりGDPの時間微分や2階の時間微分を考えれば、将来の変化量が予測できます。

アメリカの場合には、年率3.7%でした。

先進国(OECD平均)この値を計算するのは面倒なので検索をかけたところ、見つかりませんでした。つまり、時間微分を気にしている人は、ほとんどいないことになります。

また、OECDの中の日本の1人当たりGDPのランキングを問題にしている記事を多く見かけました。1人当たりGDPは順序変量ではなく、四則計算のできる普通の変量です。順位の値より、1人当たりGDPの金額の方がはるかに情報量が多いので、順位で論ずるべきではありません。

こうして見ると、日本の1人当たりGDPを論じている人の多くは微分方程式の科学的文化が理解できない人文的文化であることがわかります。

さて、前書きは、ここまでにして、本題は、座標系の取り方です。

日本が先進国であるか否かは、OECD平均をゼロ点にとって、そこからの距離を計測すべきです。

OECDの1人当たりGDPの増加率の数字は見つかりませんでした。この計算は面倒なので、ここでは、パスして、アメリカの3.7%を例に説明します。

3.7%が、OECD平均の1人当たりGDPの増加率だったと仮定します。座標系のゼロ点をここにとれば、日本は、毎年マイナス3.7%の速度で、先進国から脱落していることになります。

緊急の課題は、脱落をとめることです。

変わらない日本と言っている人は、人文的文化で、微分が分らないのです。科学的文化であれば、日本という飛行機は急速に失速していて、もうすぐ、限界速度をきって、きりもみ状態になると見えるはずです。
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