4-21. 限りなくにぎやかな未来
文字数 1,600文字
最後にチャペルのそばを飛ぶ。
ユリアはみんなに手を振ると、パパ、ママ、アルシェは笑顔で手を振り返してくれて、その後スーッと消えていった。帰る時間が来てしまったらしい。
「あっ! あぁ……、もっとお話ししたかったのに……」
しばらくうつむき、涙をポロポロとこぼすユリア。
やがて、大きく息をつくと、涙を拭きながら、
「じゃ、おうちへ帰ろうか?」
そう言ってジェイドのトゲ状のウロコを抱きしめた。
「おうちでいいのか?」
「ハネムーンは落ち着いてから行きましょ。スイートホームが一番だもの」
「分かった」
そう言うとジェイドは全身を青白い光で覆い、一気に上空へと加速して行った。ほどなく音速を超え、ドン! という衝撃波が摩天楼群に響き渡る。
観衆は両手を合わせ、輝きながら超音速で消えていく二人を見送った。
◇
気持ちの良い青空の中、二人は雲を超えながらゆったりと飛んだ。
「ジェイド、ずっと一緒にいてね」
ユリアは遠くに見えてきた雄大な火山、オンテークを見ながら言う。
「もちろん。この命続く限り」
そう言うとジェイドは力強くバサッバサッっと羽ばたいた。
「うふふ、ありがと」
見ると、後ろから金色の光を放ちながら誰かが追いかけてくる。何だろうと思っていると、それはドラゴンだった。
ドラゴンには田町の神様たちが乗り、手を振っている。
中には結婚式で先導してくれたプニプニとした頬の幼女もいた。
二頭のドラゴンは広大な森の上空でしばらくランデブー飛行をする。
「あの子可愛いわよね。私も欲しいな」
銀髪を揺らしながら手を振る幼女を見て、ユリアはうれしそうに言った。
「子供か、我も欲しいな」
「ふふっ、どんな子が生まれるかしら」
やがて、向こうのドラゴンが離れて行き、ユリアは大きく手を振る。
直後、激しい閃光を放つと、ドラゴンはピュルルルと奇怪な電子音をあげながら光速で消えていった。
ユリアは彼らの消えていった方向を眺めながらつぶやく。
「ジェイドの子なら黒髪で、目がクリッとしていて、賢くて優しい子に違いないわ……」
そして、ジェイドのトゲにしがみつき、目をつぶって幸せそうに上機嫌で続ける。
「そんな可愛い子が『ママ!』とか言って抱き着いてくるんでしょ? 最高じゃない!」
すると、
ボン!
という音がして、ユリアの前に何かが現れた。
「マンマ!」
と、つぶらな瞳の赤ちゃんがユリアにニッコリと笑いかけている。
「へっ!?」
ユリアはその黒髪の可愛い赤ちゃんを見て驚く。
「マンマ!」
赤ちゃんはニコニコしながらユリアに両手を伸ばした。
「え? あなたまさか……」
ユリアは呆然としながら赤ちゃんに手を伸ばす。
「ユリアどうした?」
ジェイドが聞いてくる。
「ごめんなさい、もう赤ちゃん産まれちゃった……」
そう言いながらユリアは恐る恐る赤ちゃんを抱き上げる。
ふんわりと漂ってくるミルクの香り。
ユリアは優しく抱きしめ、そのプニプニの頬に頬ずりをする。
すると、赤ちゃんの無垢な柔らかい心がユリアの深層意識に流れ込んできた。
「うわぁ……」
その温かい心を感じながら、間違いなくこれは自分とジェイドの子だとユリアは確信する。
「産まれたって……どういうこと?」
ジェイドはまだ理解できない。
「二人の愛の結晶よ。私、自分が神様だってこと忘れてたわ……」
キャッキャッキャッ!
赤ちゃんはうれしそうに手足をばたつかせる。
「ジェイド! ハネムーンは取りやめ! 育児するわよ!」
ユリアはそう言って赤ちゃんをギュッと抱きしめ、幸せそうに微笑んだ。
「い、育児……、ユリアといると退屈しないな」
そう言って笑うジェイド。
やがて見えてきたスイートホーム。
今日から神様と、ドラゴンと、赤ちゃんのにぎやかな暮らしが始まるのだ。
「あそこがおうちですよ~」
ユリアは赤ちゃんに洞窟を見せ、赤ちゃんはキャッキャッ! とうれしそうに笑った。
了
ユリアはみんなに手を振ると、パパ、ママ、アルシェは笑顔で手を振り返してくれて、その後スーッと消えていった。帰る時間が来てしまったらしい。
「あっ! あぁ……、もっとお話ししたかったのに……」
しばらくうつむき、涙をポロポロとこぼすユリア。
やがて、大きく息をつくと、涙を拭きながら、
「じゃ、おうちへ帰ろうか?」
そう言ってジェイドのトゲ状のウロコを抱きしめた。
「おうちでいいのか?」
「ハネムーンは落ち着いてから行きましょ。スイートホームが一番だもの」
「分かった」
そう言うとジェイドは全身を青白い光で覆い、一気に上空へと加速して行った。ほどなく音速を超え、ドン! という衝撃波が摩天楼群に響き渡る。
観衆は両手を合わせ、輝きながら超音速で消えていく二人を見送った。
◇
気持ちの良い青空の中、二人は雲を超えながらゆったりと飛んだ。
「ジェイド、ずっと一緒にいてね」
ユリアは遠くに見えてきた雄大な火山、オンテークを見ながら言う。
「もちろん。この命続く限り」
そう言うとジェイドは力強くバサッバサッっと羽ばたいた。
「うふふ、ありがと」
見ると、後ろから金色の光を放ちながら誰かが追いかけてくる。何だろうと思っていると、それはドラゴンだった。
ドラゴンには田町の神様たちが乗り、手を振っている。
中には結婚式で先導してくれたプニプニとした頬の幼女もいた。
二頭のドラゴンは広大な森の上空でしばらくランデブー飛行をする。
「あの子可愛いわよね。私も欲しいな」
銀髪を揺らしながら手を振る幼女を見て、ユリアはうれしそうに言った。
「子供か、我も欲しいな」
「ふふっ、どんな子が生まれるかしら」
やがて、向こうのドラゴンが離れて行き、ユリアは大きく手を振る。
直後、激しい閃光を放つと、ドラゴンはピュルルルと奇怪な電子音をあげながら光速で消えていった。
ユリアは彼らの消えていった方向を眺めながらつぶやく。
「ジェイドの子なら黒髪で、目がクリッとしていて、賢くて優しい子に違いないわ……」
そして、ジェイドのトゲにしがみつき、目をつぶって幸せそうに上機嫌で続ける。
「そんな可愛い子が『ママ!』とか言って抱き着いてくるんでしょ? 最高じゃない!」
すると、
ボン!
という音がして、ユリアの前に何かが現れた。
「マンマ!」
と、つぶらな瞳の赤ちゃんがユリアにニッコリと笑いかけている。
「へっ!?」
ユリアはその黒髪の可愛い赤ちゃんを見て驚く。
「マンマ!」
赤ちゃんはニコニコしながらユリアに両手を伸ばした。
「え? あなたまさか……」
ユリアは呆然としながら赤ちゃんに手を伸ばす。
「ユリアどうした?」
ジェイドが聞いてくる。
「ごめんなさい、もう赤ちゃん産まれちゃった……」
そう言いながらユリアは恐る恐る赤ちゃんを抱き上げる。
ふんわりと漂ってくるミルクの香り。
ユリアは優しく抱きしめ、そのプニプニの頬に頬ずりをする。
すると、赤ちゃんの無垢な柔らかい心がユリアの深層意識に流れ込んできた。
「うわぁ……」
その温かい心を感じながら、間違いなくこれは自分とジェイドの子だとユリアは確信する。
「産まれたって……どういうこと?」
ジェイドはまだ理解できない。
「二人の愛の結晶よ。私、自分が神様だってこと忘れてたわ……」
キャッキャッキャッ!
赤ちゃんはうれしそうに手足をばたつかせる。
「ジェイド! ハネムーンは取りやめ! 育児するわよ!」
ユリアはそう言って赤ちゃんをギュッと抱きしめ、幸せそうに微笑んだ。
「い、育児……、ユリアといると退屈しないな」
そう言って笑うジェイド。
やがて見えてきたスイートホーム。
今日から神様と、ドラゴンと、赤ちゃんのにぎやかな暮らしが始まるのだ。
「あそこがおうちですよ~」
ユリアは赤ちゃんに洞窟を見せ、赤ちゃんはキャッキャッ! とうれしそうに笑った。
了