第3話

文字数 4,072文字

ーホストクラブユウキ、社長室ー

車内で勇気に眠らされ社長室に運ばれた黒はソファーで眠っていた。

「……」

目を覚ますと黒はゆっくり身体を起こした。

「目が覚めましたか」

「あんた普通の人間じゃないよな」

ソファーに近づき向かい合って座る勇気に黒が問いかけると勇気が口を開いた。

「剛が扱っている水晶玉を生み出した者だ」

「何だと」

「水晶玉は言わなかったようだな」

「もしかして俺の邪魔をしたあの男が水晶玉」

「……」

黒の目線が離れると勇気はソファーから立ち上がり黒の顎を掴むとサングラスを外し金色の瞳を見せた。

「白と灰を探してここに連れてこい」

「はい…」

「俺の言うことに従えば大介が手に入るぞ」

「従います…」

「……」

勇気が顎から手を離すと黒の瞳が金色に変わった。

「……」

無言で黒がソファーから立ち上がると勇気が口を開いた。

「これを」

「ありがとうございます」

差し出されたサングラスを受け取りかけると黒はドアに近づいた。

その時、ドアが開き黒は女性に出くわした。

黒が声をかけず社長室を出ていくと女性は中に入りドアを閉めた。

「剛に使えていた者だよね」

「あぁ」

勇気がソファーに座ると女性は勇気に近づき隣に座った。

「何か企んでるわね」

「大介に告白したのか?」

「したんだけど消されちゃった」

「大介が剛に願いを頼んだようだな」

「ねぇ、私の願い叶えてくれない?」

「何だ?」

「わかってるくせに」

「黒にご褒美として大介を差し出そうと思ったんだが芽愛(めい)に差し出すか」

「ありがとう勇気」

そう言って芽愛が唇を重ねると勇気は芽愛の身体を倒し愛撫した。

ー森林ー

「剛が居ない、どこに行ったんだ」

そう言って水晶が魔法の杖で剛の行方を探そうとしたその時、剛が現れた。

「なぜ、ここを離れた」

怒った口調で水晶が口にすると剛が口を開いた。

「誰かがここに来たらわかる、怒った顔するな」

「大介さんと一緒だったのか」

「よくわかったな」

「大介さんが学のようにならなきゃいいが」

「どういう意味だ」

「大介さんが気になって大介さんが経営しているホストクラブに就職したんだ」

「それで」

「社長室で大介さん黒に襲われてた」

「何だと…」

「俺が止めたからヤバイことにはならなかったけど」

「大介さんの家の前で黒に会った、2度目だったのか」

「剛…」

「黒のやろう…許さない」

「剛、落ち着け」

そう言って水晶がイライラしている剛を落ち着かせようと身体に触れたその時、剛の瞳が金色に変わった。

驚いた顔で水晶が見つめると剛は森林から消えていった。

1人になった水晶は剛の金色の瞳にある人物を思い出した。

「勇気…」

険しい顔になると水晶は魔法の杖で勇気の居場所を探し始めた。

それから暫くして水晶は勇気の居場所を見つけた。

その後、水晶は魔法の杖で勇気が経営しているホストクラブユウキに向かった。

ーホストクラブユウキ、社長室ー

ソファーで芽愛の身体を愛撫していた勇気は水晶の気配を感じ芽愛から離れた。

身体を起こし「どうしたの?」と芽愛が問いかけると勇気が口を開いた。

「客が来たようだ、俺が連絡するまでここに来るな」

「わかった」

服を着て芽愛が社長室を出ていくと勇気もスーツを着てドアに目を向けた。

そしてドアが開き水晶が現れた。

「久しぶりだな水晶」

「……」

勇気の会話に水晶は無視しながら勇気に近づき胸ぐらを掴んだ。

「何を企んでる」

「企んでる俺が?」

「俺に復讐したいなら俺だけにしろ、剛を巻き込むな」

「剛に何かあったのか?」

「お前と同じ金色の瞳になったんだ」

「まだ会ったことないのに凄いね」

「勇気、大介と剛に近づくな」

「近づいたら?」

「お前の命を奪う」

胸ぐらを掴みながらが口にする水晶にイラっとした勇気は水晶をソファーに突き倒し覆い被さりながら口を開いた。

「俺の命を奪うだと、俺のお陰でこの世に生まれたくせに」

「傷だらけの水晶玉だった俺を復活させてれたのは感謝している」

「感謝をしているなら俺の邪魔をするな」

「勇気…」

「帰れ」

そう言って勇気が離れ背を向けると身体を起こし水晶が口を開いた。

「剛は学という男性を失ってる」

「……」

「学のように大介を失わせたくない」

「人間になってもお前は変わらないな、俺より相手を心配する」

「勇気」

「帰れ、話しは終わりだ」

背を負けたまま勇気が口にすると水晶はその場から姿を消していった。

「俺が金色の瞳になっても心配しないのに剛が金色の瞳になったら心配するのか…水晶…許せない」

そう言って勇気の水晶への怒りが高まると金色の瞳の光りが増した。

その頃、黒は人気が少ない公園で白と灰と合流していた。

「久しぶりだな黒」

「それサングラスか?」

「あぁ」

「似合うじゃん」

「ありがとう」

「話って何だ」

白が口にすると黒がサングラスを外した。

金色の瞳に白が「どうしたんだその瞳の色」と問いかけると黒が白と灰に向かって口を開いた。

「勇気さんに会ってほしいんだ、俺と一緒に来てくれ」

黒が口にしたその時、魔法の杖を持って剛が現れた。

「黒!」

「剛さん」

「……」

黒の目線に白と灰は振り返り剛に目を向けると剛の金色の瞳に驚いた。

「剛さんも金色だ」

「何があったんだ?」

「黒、水晶から聞いたぞ」

白と灰の存在を無視したまま剛が口にすると黒が口を開いた。

「大介さんが剛さんを好きでも構わない、俺は大介さんを手に入れる」

「……」

黒の言葉に怒りが増した剛は魔法の杖に力を込め黒に向かって光線を放った。

黒が光線を受け倒れると白が黒の前に立ち「やめてください」と口にすると剛は魔法の杖で白に光線を放ち白は光線を受け倒れた。

「白!」

灰が白に近づくと「剛、やめろ」と言って水晶が現れ魔法の杖を掴んでいる剛の手首を掴んだ。

「白、大丈夫か?」

「はい」

水晶の問いに返事をし白が立ち上がると水晶が口を開いた。

「黒を連れて森林に行け」

「……」

「早く行け」

「はい」

慌てて黒に近づき身体を支えると白と灰は公園を離れていった。

「水晶、手を離せ」

「今の剛は我を失ってる」

そう言って水晶は人気のない公園に結界を張り手を離した。

「なぜ黒を逃がした」

「傷だらけの水晶玉を復活させてくれた勇気のお陰で俺は人間に変身できた、そしてこんなことも出来るようになった」

そう言って水晶は透明な弓矢を構え剛に向けた。

弓矢が見えない剛が「ふざけてんのか」と口にし魔法の杖で公園を放つと水晶は透明な矢を放った。

透明な矢は光線を防ぎそのまま剛の身体の中に入ると剛の怒りを浄化した。

その後、剛が魔法の杖を手から離しぼんやりしていると金色の瞳が元の瞳に戻り身体から透明な矢が現れうつ伏せで倒れた。

透明な矢は水晶の元に近づき掴まれると消えていった。

剛が倒れて30分後、剛は目を覚まし立ち上がった。

「ここは…水晶…」

「目が覚めたか」

「森林に居たのになぜここに居るんだ」

「覚えてなくていい、大介さんの家に行くぞ」

「森林に戻らないと」

「森林は俺が行く、剛は大介さんを守れ良いな」

「わかった」

「先に行け」

「わかった」

魔法の杖で剛がその場から消えると水晶は結界を解き魔法の杖で森林に向かった。

ー大介の家ー

大介の家の前に着いた剛がインターホンを鳴らそうとしたその時、スーツ姿でサングラスをかけた勇気が声をかけてきた。

「剛さん」

「……」

声をかけられ剛が振り返ると勇気は近づき口を開いた。

「ここは大介さんの家ですか?」

「そうですが、あなたは?」

「ホストクラブユウキを経営している勇気といいます」

「ホストクラブを経営している人が大介さんに何のようですか?」

「ある人物を呼び出すための人質になってほしいんです」

「人質?」

怪しいと感じた剛が魔法の杖で攻撃しようとしたその時、サングラスを外した勇気の金色の瞳に気絶させられ倒れた。

剛の手から魔法の杖を奪い取りドアに向けると大介を呼んだ。

暫くしてドアが開き大介が現れると勇気が口を開いた。

「この方、知り合いの方ですか?」

「剛さん!」

大介が倒れている剛に近づくと勇気はサングラスをかけ魔法の杖を消すと声をかけた。

「部屋で休ませた方がいい」

「そうですね」

「俺が運びます」

「ベッドに案内します」

そう言って大介が家の中に入ると勇気は剛の身体を支えながら家の中に入り大介についていくと寝室の中に入った。

その後、勇気は剛の身体を支えながらベッドに近づき仰向けで寝かせ大介に目を向けると口を開いた。

「水晶という人間を知っていますか」

「水晶さん知ってますよ、俺が経営しているホストクラブで働いていますから、水晶さんがどうかしたんですか?」

「今から君には水晶を呼び出す人質になってもらう」

「人質?」

「……」

無言で勇気は驚く大介を抱き寄せサングラスを外すと金色の瞳で見つめ大介を眠らせた。

その後、勇気はサングラスをかけ大介をお姫様抱っこするとその場から消えホストクラブユウキの店に向かった。

1人になった剛は仰向けのままベッドで眠り続けた。

その頃、水晶は森林で透明な矢を使って黒の身体を浄化し黒と白と灰に水晶玉と勇気の繋がりを話した。

その時、水晶だけに勇気の声が聞こえた。

「水晶、俺だ」

「勇気!」

「声を出すな」

「何でもないから気にしないでくれ」

見つめる黒と白と灰に声をかけると心で声をかけた。

「何のようだ」

「水晶、大介を助けたかったらお前1人で俺の店に来い」

「わかった、今すぐ行く」

そう言って心の会話を切ると水晶は歩き出した。

「どこに行くんですか?」

白が問いかけると水晶が口を開いた。

「3人はここに居てくれ」

「……」

何かあると感じた白は黒と灰を森林に残し築かれないようにあとを追いかけていった。

その頃、大介はホストクラブユウキの社長室のソファーで眠っていた。

「…芽愛と剛と黒が夢中になるのもわかる…美しい」

そう言って勇気は仰向けで寝ている大介の唇に唇を重ねた。

その瞬間、勇気の胸が高鳴り唇を離すと勇気は大介の顔を見つめた。

「俺が…恋するなんて…」

勇気が口にしたその時、ドアが開き水晶が現れた。
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