外車の古いのも面白いぜ
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俺たちは続いて、オープンカーがずらっと並んでるコーナーに来た。
やはりイギリス車が多いぜ。
後日聞いた話では、あれは某車メーカーの陰謀で、塗装費用が安い白を普及させ生産コストを下げる目的と、下取り車を簡単に他の色に塗り替えられるメリットで爆発的に白い車が増えたのだという話だった。
なんかえげつない話で、知ってて杏奈に話したら、なんとなく肉体的被害を受けた気もする。
俺は、リトラクタブル式のヘッドライトを備えた一台のオープンカーを指さした。
実は、これは俺には特別の車だった。
ああ、まあ、スーパーカーが流行った頃が全盛期だからなあ、そういう印象あるけど、決してそういう会社じゃないんだ。純粋にスポーツカーを作ってたんだ、でも、高級路線シフトして失敗して、会社身売りしちまったんだよな。
そう言うと、俺はこっそり展示車のボンネットを撫でて見せた。
杏奈さんが、大きく頷いた。
杏奈さんの顔が急速に赤くなっていった。
杏奈さんがボンネットのオーナメントを指しながら言った。
きっと、ここで違うと言い続けたら再度の攻撃が襲ってくる。
俺は沈黙作戦に転じた。
もう落とす肩もどこかに行ってしまった気がします。
というわけで、後頭部に張り手をもらってから、俺たちはヨタハチを探して会場を移動し始めたのであった。
ヨタハチを見つけるまで、体が持ってくれればいいんだけど、とほほ。