第1話
文字数 573文字
十一月半ばの土曜日、本格的な年末の忙しさが始まる前に休みが取れた僕は、付き合っている美咲を誘って、一泊二日の温泉旅行に出かける事にした。
僕は関越自動車道を使って群馬の伊香保温泉に泊まろうと思っていたのだが、美咲は東名高速道路を通って熱海に行きたいと言ったので、熱海に行くことになった。僕も熱海の温泉は嫌いではないし、旨い海産物や昭和感あふれる街並みを散策するのは嫌いではなかったので、美咲の提案を受け入れる事にした。
僕は認定中古車で買ったマツダ・CX‐5を運転して、待ち合わせ場所にしている東京都北区のみんなの公園に行った。そこで美咲と荷物を乗せて、首都高速の新板橋の入り口から山手トンネル経由で東名高速道路を通って熱海に向かう事にした。山手トンネルはバイクでは何度も通った道だが、自動車に乗り付き合っている人を助手席に乗せて走るのは初めての体験だったので、今までとは少し気分が違った。
「私、山手トンネルに入るのは生まれて初めて」
山手トンネルの入り口を目の前にした瞬間、美咲は不意にそんな言葉を口にした。
「そうなのかい?意外だね」
僕はそう答えて、トンネルの上にある『山手トンネル』と書かれた銘鈑を見た。文字が大きくなるにつれて、どこにでも行ける様々な場所に繋がる地下の道路へと僕は進んでゆく。その事実が、僕に過去の記憶を呼び起こさせた。
僕は関越自動車道を使って群馬の伊香保温泉に泊まろうと思っていたのだが、美咲は東名高速道路を通って熱海に行きたいと言ったので、熱海に行くことになった。僕も熱海の温泉は嫌いではないし、旨い海産物や昭和感あふれる街並みを散策するのは嫌いではなかったので、美咲の提案を受け入れる事にした。
僕は認定中古車で買ったマツダ・CX‐5を運転して、待ち合わせ場所にしている東京都北区のみんなの公園に行った。そこで美咲と荷物を乗せて、首都高速の新板橋の入り口から山手トンネル経由で東名高速道路を通って熱海に向かう事にした。山手トンネルはバイクでは何度も通った道だが、自動車に乗り付き合っている人を助手席に乗せて走るのは初めての体験だったので、今までとは少し気分が違った。
「私、山手トンネルに入るのは生まれて初めて」
山手トンネルの入り口を目の前にした瞬間、美咲は不意にそんな言葉を口にした。
「そうなのかい?意外だね」
僕はそう答えて、トンネルの上にある『山手トンネル』と書かれた銘鈑を見た。文字が大きくなるにつれて、どこにでも行ける様々な場所に繋がる地下の道路へと僕は進んでゆく。その事実が、僕に過去の記憶を呼び起こさせた。