第5話(1)

エピソード文字数 1,891文字

 翌朝俺、育月、レミア、フュル、シズナは高志おじさんの車で大杉駅に向かい、汽車に乗車。緑が一杯の山、透き通った川を眺めつつ揺られ、やがて陸の玄関・高知駅に到着した(ここの駅舎ホームに架かる、高知県産の杉を使ったアーチ状の大屋根『くじらドーム』が素敵なので、是非ご覧になってくださいませ)。
 そしてそこからはタクシーのお世話になって、再び車で移動。旧と新の建物が同居する懐かしい道路をブーンと走り、高知市内にあるショッピングモールにやってきた。

「にゅむむっ、おっきなトコだねー。たのしそー」
「これは……えーと……外観先生がナイスやねっ。かなりよさそうなトコロぜよ!」

 俺達は一階の出入口前にいるため、レミア&フュルが建物を見上げてニコニコする。
 ここは二人が言う通りで、老若男女が楽しめる良い場所。レストラン街やフードコート、映画館、スーパー、専門店街には服屋さんや眼鏡屋さんなど様々なジャンルのお店があるので、一日いられるトコでございまする。

「この施設には、相当な数のお店が集まってるみたいね。従兄くん、今日はここで過ごすの?」
「ううん、違うよ。ここは、本日の目的地その1です」

 旅のドキドキ感を出すため、3人には内容を伏せている。なので全部は明かさないんだにゅむ。

(はじめはココでショッピングで、皆も欲しいものがあったら買ってあげるよ)「さーて皆様、買い物をしますか!」

 俺はコッソリ異世界組に伝え、最初にスマホで時刻をチェック。今現在は、

『午前7時8分だな』

 現在は、午前9時過ぎ。
 俺はコッソリ謎の声に『うせろ』と伝え、脳内で予定を組みながら四人で入店。まずは育月が興味を示した、アクセサリー等を売っている店を覗くことになりました。

「どう? いいのありそう?」
「は……い。早速、見つけ……ました」

 従妹の目に留まったのは、三日月型のネックレスと星型のネックレス。どちらもセンスが良い一品だ。

「他にも買いたい、ので、どっちかに……します。兄様、どちらがわたしに、似合い……ますか?」

 育月は、上目遣いで見てくる。『三日月って言いなさい』ってお目目で、こちらを見てくる。

「み、三日月型かな。育『月』だし、ピッタリだよ」
「そう、です……か。でしたら、こっちに……します」

 マイ従妹は大事そうに三日月型のネックレスを持ち、若干オドオドしてレジに向かう。
 あの御人、ホントすっごいよね。俺だったら、あんな生き方ムリですわ。

「……従兄くんに、おねだりしない……! できるわね育月さん……!!

 あーあ、まんまと騙されてる。勿論ソレも、ヤツの狙いだ。

「ほー、これがアクセサリーショップ先生かえ。生まれて初めて入ったぜよ」
「あたしもあたしもー。キラキラしたのが、いっぱいあるねーっ」
「レミア先生の言う通り色々あって、手頃なのが多いがやけど……。先生、あそこ見てや……!」
「にゅむっ、67万円!? そんなにお金があったら、何十か月もご飯を食べれるよーっ!」

 天下の勇者魔法使いと魔王勇者が、口をあんぐりさせている。
 英雄ってホントは年間50億円くらい貰えるらしいけど、時給820円(あちらの日本の最低賃金※しかも俺の護衛のように、本業から離れている時は貰わない)に変えてるみたいだからなぁ。金銭感覚は庶民のままだ。

「い、従兄くんっ、こっちは五十四万円ですって! お金を持っている人は、こんなのをポンと買えちゃうのね……っ」
「シーズーナー、あからさまな『私庶民なのよ』アピールは逆効果だ。ワザワザそんな真似しなくても、アナタの性格の良さはわかってるよ」

 この人だって、充分立派だ。興奮する部分を除いて、ね。

「っっっっ。従兄くん…………さり気ない優しさは、反則よ……っ」
「俺は、当然の発言をしただけ。こりゃ、優しさなんかじゃないっての」

 今のが優しさなら、正論は全てそうなってしまう。この御方チョロイなぁ。

「従兄、くん……。私達は『いとこ』同士なのに、このままだと…………貴方を、異性として好きになっちゃいそう」
「いとこ同士の恋愛は法的に○だしアンタは従妹じゃないし、すでに異性として好きになってるだろうが――なっていますでしょう?」

 危ねー危ねー。こんなところでビクンビクンされたら、二度と店に入れなくなってたよ。
 と胸を撫で下ろしたけど、会話を聞かれたのか店員がヒソヒソ話をしてる。丁度育月の会計が終わったし、さっさと別の店にゆこう。
 はい、ここはお仕舞いにゅむ。
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登場人物紹介

色紙優星 16歳の少年


高知県生まれの主人公。

リリウという神様の聞き間違えで魔王使いになってしまい、おまけに『究極奥義』と呼ばれる力を何個も持ってしまった高校生。優しく他人想いなのだが、彼はとあるセンスが全くないのであった……。

黒真レミア 16歳の少女


魔王、でありながら伝説の勇者の能力を持つ。冷徹でクールな容姿と声音を持つ美少女だが、性格はほわほわでお子ちゃま。『にゅむ』という独特な言葉を多用し、時にはにゅむのみで会話を行おうとする。例「にゅむーむ。にゅむ。にゅむりん」。

なお愛用の武器である聖剣は魔王の天敵であるため、使うと痺れる。

金堂フュル 16歳の少女


伝説の勇者、でありながら伝説の魔法使いの能力を持つ。元気一杯の猫っぽい女の子で、高知県の英雄・坂本竜馬の大ファン。そのせいで『ぜよ』と中途半端に覚えた土佐弁を使い、主人公のことは『師匠』、仲間のことは名前のあとに『先生』とつけて呼ぶ(例えばレミアの場合はレミア先生)。

なかなかにおバカな女の子。

虹橋シズナ 17歳の少女


伝説の魔法使い、でありながら魔王の能力を持つ。大和撫子然とした容姿を持つ美少女であり、主人公の義理の従妹。

重度の怒られ好き。

とにかく変で厄介で面倒くさい人。

茶操ユニ 18歳の少女


伝説のドールマスター、でありながら伝説のプリーストの能力を持つ。キグルミ族という一族の人間で、閉園したテーマパークのキャラクター・二足歩行ウサギの着ぐるみを着ている。口癖は、ミョン。

実はお笑いにうるさく、親戚は某有名人。

プリースト神 年齢不明


茶操ユニが持つプリーストの杖に宿る、プリーストの神様。

実は……。

橙式エイリ 14歳の少女


伝説のモンスターテイマー、でありながら伝説の召喚士の能力を持つ。所謂スケバン然とした容姿と声を持つが、グループ最年少の中学生でみんなの妹的存在。でもレミアやフュルよりずっとまともで、ヤツらの方が妹的存在な気がする。

野菜が大好きで、とても詳しい。

タンザ・クー 年齢不明


橙式エイリの召喚獣で、俳句世界(はいくわーるど)の王女。

タンザが姓で、クーが名。

二万年後に、地球の傍に誕生する世界からやって来た。


色紙育月 16歳の少女


高知県大豊町在住の、優星の従妹。中学卒業と同時に本格的にピーマンの生産を始め、今ではテレビの取材を受けるほどになっている。


薄幸の美少女然とした容姿と、従兄想いの優しい性格が自慢の従妹です! by色紙優星

謎の声 年齢不明


優星にだけ聞こえる、不思議な声。

なぜか正体を明かそうとしない。

リリウ 神様


願いを聞き間違えて、優星を魔王使いにしてしまった神様。

神様の世界で流行しているゲームに夢中で、神様のお仕事はほとんどしない。

とってもダメな、神様(?)な神様。

麗平活美 16歳の少女


ストロベリーブロンドのドリルヘアーが特徴の、優星のクラスメイト。

お嬢様然とした容姿で気品があるように見えるが、非常に活発。実は……。

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