第1話 ゴミ拾いを始める
文字数 808文字
犬の散歩中、人間は暇だ。
ウチの犬たちは、行儀良くもないが、悪くもない。
もう七歳になるからか、興奮して暴れたり引っ張ったりはしない。よって、俺がやることと言えば、糞をする間立ち止まることと、その糞を回収することくらい。
それ以外の時間、人間は、ただ彼らについていくだけだ。
本来、犬のしつけでは、犬に主導権を握らせてはいかんらしい。だが、ウチの場合は特に問題も起きていないので、前を歩こうが、道を決めようが、立ち止まろうが、彼らの自主性に任せている。
あまりに暇なので、犬たちが若い頃は、彼らに合わせて俺も走った。
走ると、歩く場合の五倍くらいの距離を移動できるから、眺めの良い河川敷や丘陵公園まで足を延ばせる。俺の体力作りにもなるし、犬の食欲も増してストレスも解消。
まさに一石二鳥だったのだが、二頭のうち一頭が、ある日突然走らなくなった。
おかしいと思っていたら、今度は夜中に突然泡を吹いて倒れた。
「癲癇(てんかん)」というやつである。遺伝的疾患らしく、4~5歳で突然発症する個体が多いらしい。犬の場合、二百頭に一頭くらいいるとのこと。
毎日二回、薬を飲ませるようになって症状は治まったものの、走れないことに変わりはない。またも人間は暇になってしまったわけだ。
仕方なく植物を観察したり、用水路をのぞき込んだりしていたわけだが、どうにも不毛だ。
そして、走らなくなってようやく気づいたが、意外に道に落ちているゴミが多い。
そこで、散歩中はゴミ袋を持って歩くようにしたのだ。
だが、拾い始めてみると、これが非常に興味深い。ゴミの種類、状況、由来は様々で、悪意に満ちたゴミもあれば、間抜け極まりないゴミ、同情したくなるような落とし物もあった。
このエッセイは、そんな俺とイヌとゴミたちとの、なんかモヤっとした、あるいはビシッとした、環境問題の啓発や、ポイ捨て人間への罵倒なんかも混ぜ込んだ、ふれあい物語である。
ウチの犬たちは、行儀良くもないが、悪くもない。
もう七歳になるからか、興奮して暴れたり引っ張ったりはしない。よって、俺がやることと言えば、糞をする間立ち止まることと、その糞を回収することくらい。
それ以外の時間、人間は、ただ彼らについていくだけだ。
本来、犬のしつけでは、犬に主導権を握らせてはいかんらしい。だが、ウチの場合は特に問題も起きていないので、前を歩こうが、道を決めようが、立ち止まろうが、彼らの自主性に任せている。
あまりに暇なので、犬たちが若い頃は、彼らに合わせて俺も走った。
走ると、歩く場合の五倍くらいの距離を移動できるから、眺めの良い河川敷や丘陵公園まで足を延ばせる。俺の体力作りにもなるし、犬の食欲も増してストレスも解消。
まさに一石二鳥だったのだが、二頭のうち一頭が、ある日突然走らなくなった。
おかしいと思っていたら、今度は夜中に突然泡を吹いて倒れた。
「癲癇(てんかん)」というやつである。遺伝的疾患らしく、4~5歳で突然発症する個体が多いらしい。犬の場合、二百頭に一頭くらいいるとのこと。
毎日二回、薬を飲ませるようになって症状は治まったものの、走れないことに変わりはない。またも人間は暇になってしまったわけだ。
仕方なく植物を観察したり、用水路をのぞき込んだりしていたわけだが、どうにも不毛だ。
そして、走らなくなってようやく気づいたが、意外に道に落ちているゴミが多い。
そこで、散歩中はゴミ袋を持って歩くようにしたのだ。
だが、拾い始めてみると、これが非常に興味深い。ゴミの種類、状況、由来は様々で、悪意に満ちたゴミもあれば、間抜け極まりないゴミ、同情したくなるような落とし物もあった。
このエッセイは、そんな俺とイヌとゴミたちとの、なんかモヤっとした、あるいはビシッとした、環境問題の啓発や、ポイ捨て人間への罵倒なんかも混ぜ込んだ、ふれあい物語である。