第6話 ウチの庭

文字数 874文字

 今日は午後から強めの風が吹いて窓、ガタガタいってたよ。我が家は木造建築の戸建。

 建ぺい率ギリギリに建てている我が家の庭は、南側に申し訳ない程度の大きさ。
しかも、南隣さんの土地の方が少し高いので、日当たりが悪い。それでもシンボルツリーと、幼かった子どもたち用としての、一畳ほどの花壇がある。シンボルツリーは、ジューンベリーともう1本(名前を忘れた)

 ジューンベリーは、初夏に大豆ほどの赤い実をつける。家を建てるときに建築士が「庭に鳥が来て、楽しいよ」 と。知識に乏しい夫と私は、言われるがままに採用した。日当たりが悪いわりに2階の窓辺りまで成長。春に咲く白い花は圧巻だ。

 建築士の思惑通り、実を食べに鳥がやってくる。ムクドリ、雀、ときに(うぐいす)。でも、ほとんどムクドリ。憎たらしいほど食い散らかしていく。雀は小さいクチバシながら、丸呑み込みしているようだ。そして消化できない種入りのフンを、ウッドデッキに落としていく。これも想定内だったのか?毎年の光景。

 一畳ほどの花壇には、季節ごとにチューリップ、水仙、パンジーなど植えてみたが、日当たりの悪さ、粘土混じりの土、手入れ不足が相まって、今は少し残っているクリスマスローズと、我がもの顔で増殖中の雑草たちがいる。草はたくましいね。悪条件でもしっかり育つ。

 ある日、東隣の奥さんが「クリスマスローズのお花が、ウチの方に数本咲いているんだけど、いただいていい?」と言ってきた。どうやら、ウチのローズたちの根か種がお邪魔して、咲いたみたいだ。こんなとき、ほとんどの人は、ダメなんて言えないと思う。私もほとんどの人なので、快諾。それに、東隣の庭を気にいったらしいクリスマスローズの意思を尊重しなければ。

 ところが、ここ数年で大半のローズが隣の庭へ移動したのだ。こんなことある?今や隣のクリスマスローズが、ウチの花壇に遊びに来ている状態。なんてこったい。情けない。ウチのどこがいけないの?あのとき以来、東隣の奥さんからは声がかからない。今度はこちらからハッキリ言わなくちゃいけないかしら
「お世話になっております」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み