第139話
文字数 1,101文字
「だからお前から『好きだ』って言えばいい。それだけだって」
ウジウジと話す龍太に、吾郎は言い放った。
「あのな、大体の女子は、うだうだ言っても聞いてないっていうか、通じない」
なんだか怒られているようで、龍太だんだん首を前に傾けていった。
「特にお前らみたいな、早く言えよって感じの状態だと、もう山田の方は待ちきれない」
龍太は下を向いたまま、口を開けた。
「待ちきれないなら、山田さんの方から何か……」
座っていた滑り台の床に、吾郎は両手を叩きつけて立ち上がった。
「それ、真由美たちならやるかもしれないけど、お前、そんな山田が好きになれる?」
ブランコの前にある手すりに腰かけて下を向いていた龍太も、思わず顔をあげた。
「分った? お前が好きな山田が、何を待っているのかってこと」
自分から告白するしかない状況を理解した龍太だが、それでも心配なことがあった。
「分ったけど、けどさ、やっぱりこういうのって、バレたらからかわれたりするじゃん」
隣に座った吾郎が、龍太の肩を叩きながら言った。
「まあ確かに。でもな、うまくいけば誰も何も言わない」
龍太にもそれは想像できた。また俯いていた龍太は、
「うまくいけば、だよね……」
間髪入れずに吾郎が言った。
「大丈夫。俺が見る限り、山田もお前が好き。洋一郎は無い。孝弘はありそうだったけど、泰史の件で完全にアウト。まあ、山田のことが好きなんだろう、という奴は他にもいるだろうけど、山田の目は龍太にいっているって」
吾郎に断言されると、そんな気にもなって来た。
「ありがとう。じゃあ、やり方を考えるよ」
そう言って立ち上がった龍太の手首を、吾郎が掴んだ。
「龍太、今ここでバイバイすると、多分お前、来週も告白しない」
指摘されると確かにそうだ。多分この週末でいろいろ考えて怖気づくような気がした。
「作戦を考えるぞ。それか、今から山田の家に戻る。こういうのは思い切りが一番」
龍太は目を大きく開いて首を振った。
「今からって、そりゃあダメだろ。さっき山田さんは気落ちしてたし」
「ふん。龍太はまだまだだな。そこをお前が明るくしてあげるってことだ」
ドキドキしながらも、龍太は吾郎の発想に感心し、納得もしていた。確かにそういう風に考えれば、今がチャンスな気がする。またこの沈んだ気持ちを変えてあげたい、という気持ちになれる人こそが好きな人なんじゃないかと思った。
「じゃあ、今から?」
逆に吾郎が大きく目を開けた。
「龍太、ついにその気になったか」
「一緒に行ってくれる?」
吾郎は両手を頭に置き、叫んだ。
「オーマイゴー。そりゃあダメだ。今の状況で振られるとすれば、俺が一緒に行った場合だぜ」
ウジウジと話す龍太に、吾郎は言い放った。
「あのな、大体の女子は、うだうだ言っても聞いてないっていうか、通じない」
なんだか怒られているようで、龍太だんだん首を前に傾けていった。
「特にお前らみたいな、早く言えよって感じの状態だと、もう山田の方は待ちきれない」
龍太は下を向いたまま、口を開けた。
「待ちきれないなら、山田さんの方から何か……」
座っていた滑り台の床に、吾郎は両手を叩きつけて立ち上がった。
「それ、真由美たちならやるかもしれないけど、お前、そんな山田が好きになれる?」
ブランコの前にある手すりに腰かけて下を向いていた龍太も、思わず顔をあげた。
「分った? お前が好きな山田が、何を待っているのかってこと」
自分から告白するしかない状況を理解した龍太だが、それでも心配なことがあった。
「分ったけど、けどさ、やっぱりこういうのって、バレたらからかわれたりするじゃん」
隣に座った吾郎が、龍太の肩を叩きながら言った。
「まあ確かに。でもな、うまくいけば誰も何も言わない」
龍太にもそれは想像できた。また俯いていた龍太は、
「うまくいけば、だよね……」
間髪入れずに吾郎が言った。
「大丈夫。俺が見る限り、山田もお前が好き。洋一郎は無い。孝弘はありそうだったけど、泰史の件で完全にアウト。まあ、山田のことが好きなんだろう、という奴は他にもいるだろうけど、山田の目は龍太にいっているって」
吾郎に断言されると、そんな気にもなって来た。
「ありがとう。じゃあ、やり方を考えるよ」
そう言って立ち上がった龍太の手首を、吾郎が掴んだ。
「龍太、今ここでバイバイすると、多分お前、来週も告白しない」
指摘されると確かにそうだ。多分この週末でいろいろ考えて怖気づくような気がした。
「作戦を考えるぞ。それか、今から山田の家に戻る。こういうのは思い切りが一番」
龍太は目を大きく開いて首を振った。
「今からって、そりゃあダメだろ。さっき山田さんは気落ちしてたし」
「ふん。龍太はまだまだだな。そこをお前が明るくしてあげるってことだ」
ドキドキしながらも、龍太は吾郎の発想に感心し、納得もしていた。確かにそういう風に考えれば、今がチャンスな気がする。またこの沈んだ気持ちを変えてあげたい、という気持ちになれる人こそが好きな人なんじゃないかと思った。
「じゃあ、今から?」
逆に吾郎が大きく目を開けた。
「龍太、ついにその気になったか」
「一緒に行ってくれる?」
吾郎は両手を頭に置き、叫んだ。
「オーマイゴー。そりゃあダメだ。今の状況で振られるとすれば、俺が一緒に行った場合だぜ」