ケンちゃんと花火

文字数 1,799文字

そう、ケンタロウだ。

男の気持ちなんてわからないのに、ケンタロウの話はサクサク書けた。

やはり、陰と陽で、同調しやすいものってあるんじゃないかと思う。

波長が合う。

シンジの時とは違って、ケンタロウのことはものすごくよくわかった。
思えば、オワリも結構すぐ書けた。

とは言え、本当の男心に近いものが書けているのかはわからない。

どうにかしてケンちゃんを幸せにしたかった。
けど、カオリの話はもう終わってしまったのだ。
ケンちゃんの運命は決まっている。

カオリに続き、ケンちゃんの回もどんよりしながら書いた。

ケンちゃんは私にとって癒しなのだ。
地味だけど優しいし、決して、暗くて内にこもるのではない、明るい者とも付き合える、『ほどよい男子』なのだ。
周りのことも見えてるし、自分というものが確立している。
正直、カオリにはもったいない男だ。

カオリに翻弄されるケンちゃん。
かわいそうに。
サホよりカオリの方がよっぽど小悪魔なのでは?と思いつつも、いやいや、カオリにはカオリなりの気持ちがあるはずだ、とカオリの肩を持ちながら書いた。

私の頭の中で繰り広げられていた夏シリーズは、細い線で描かれたマンガで進行していった。

それが、ケンタロウに関してだけ実写のイメージがかなり浮かんでいた。

背が高く、顔は塩顔、ほどよい癖っ毛。
普段、メガネをかけているのであまり目立たないが、綺麗な顔をしている。

話し方はボソボソしていて、ある日、佐藤健が話していたとき、コレだ!と思った。こーゆー話し方だ、と。ポイントは気だるい感じだ。
その時の髪型も近かったが、顔はちょっと違う。

そう思ったからといって何がどうというわけでもないのだが、そんな感じで、かなりケンタロウについては具体的に思い描いていたし、思い入れが強かった。

ケンタロウが理想かと言われたらそうではない気がするが、私は優しい人がとにかく好きなので、ケンタロウのことは好きなのだ。


ところで、実際、明るい時に花火をやったことのある方はどれくらいいらっしゃるだろうか。

私自身、花火を明るい時間帯にやったことはなかった。

なので、花火のシーンはたぶんこういう光だろうな、と思い浮かべた感じで書いてしまったのだが、書き終えてから、本当にそういう光なのだろうか、とずっと何となく心に引っ掛かっていた。


そして、昨日、ついにやってみた。

たまたま花火をした日に風が強くて線香花火だけ余っていたのを、急に検証に使いたくなってしまった。

今やらないと一生やらない気がすると思って、家族に「ちょっと、今、花火したいんだけど」と言うと、家族は驚きもせず、「やりなー」と言った。

「誰か一緒にやる?」と聞いたら、全員がやらないと言った。
花火好きな2番目の子どもであるツー(=2、仮名)でさえ「花火は暗い時にやった方がいい」と言って、やろうとしない。

そりゃそうだ。それ用に作ってあるんだから。
でも、なぜやってみたいと思わないんだろう、と不思議に思った。

一人でやるのもなぁと思って「1本だけやってみるけど、ツーも見てみる?」と言うとついてきたので、家の前で火をつけようとした。

ところが、火が全然つかないので夫を呼び、結局、夫が火をつけ、ツーと3人で明るい時間帯の線香花火を見た。

私が『夏を紡いでいる』とは知らない夫は、こんなに明るい時に夫を呼びつけてまで花火をしようとする妻を、ちょっとおかしいなと思ったようで「どうしたの」と言ったが、「やりたいんだ」と言うと静かに見届けた。

火をつけた。

想像以上に、見えない。

丸い真ん中の部分は見える。
それ以外の部分は全然見えない。
透明なオレンジじゃなかったのかー!デタラメ書いちゃったなーと思っていたら、
ちょっと火花が大きくなったとき、見えた。

想像より見えたけれど、一瞬パチパチっと見えては消える。

意外とオレンジだ。

私の想像ではもっと柔らかい光だったけれど、見えたり見えなかったりというところは想像通りなので、まぁ良いんじゃないかと思った。

想像だけでは本当のことってやっぱりわかんないなーと感じた。


ケンタロウをもって夏シリーズは完結し、悲しいが仕方ない、現実って叶わない恋が星の数ほど溢れているからね…としみじみ思っていたのだが、なんとまだ終わっていなかった。

占い師のように、ケンちゃんの未来が見える。
しかも、今度は私の通っていた大学にいるではないか。

あれ?またケンちゃんの物語が始まってしまった。
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