文字数 523文字



このドアを一歩外に出れば
スーツを着こなし街中を颯爽と歩き
会社の中でもやり手と謳われ
誰にでも好かれるけどどこか近寄りがたい
時間の許す限り誰かに付き合い
仕事は殆ど持ち帰ることもない
同僚にはやっかみ半分で絡まれるけど
その程度ではダメージに感じることもなく
そんなことすらも取り込んで
自分の糧にして日々を過ごす
そんな僕を周りの人はアイアンマンなんて
揶揄しているらしい
人の目にかかるフィルターほど
滑稽なものはないのだと
帰りの電車に揺られ車窓の向こうに思う
でも誰も知らない本当のことなんて
家に近づくほどにそんなオーラも
少しずつ僕の体からこぼれ落ち
近所のコンビニの馴染みの店員は
僕の会社での姿なんか想像出来ないだろう
カゴの中は弁当とお酒以外は
甘いもので埋め尽くされ
必ず何かしらスィーツが入ってる
リビングのソファーの上で待つのは
それは大きなぬいぐるみ
部屋着に着替えてぬいぐるみ抱きかかえて
1日最後の疲れを癒すハグしてる
夕食を済ませればスィーツをアテにお酒を飲んで
寝る前にまたハグして終わるそんな日々
今は誰かを大好きになる余力がないから
会社のやつらには見せられないけど
これが僕のルーティン
今日のおやすみと一緒に
ドアの外をリセットしよう
また明日アイアンマンになるために

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