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文字数 1,971文字
それは、言葉つかいが二人死んだからです。
残る五体の巨人が、影を引きずりながら歩いてきます。
テスは言葉つかいの姿を探して、横長の平屋に飛び乗りました。
鎧がまぶしくて、目を閉じそうになります。
振り上げられて動くメイスの影が、一瞬だけテスを光から守りました。
屋根の上のテスを狙い、メイスの影が動きます。
テスはくるりと跳び、地面に下りました。
またしても、家が一軒背後で叩き潰され、内側に陥没するように壊れました。
巨人たちはテスの前に回り込んで包囲しようとしません。
それがどういうことか、テスは気付きました。
言葉つかいたちも、あの巨人たちを自分の近くで暴れさせたくないのです。
つまり、巨人が行かないところに彼らは隠れているのです。
男は放物線を描いて飛んでくるテスを見上げ、喉を無防備に晒し、口を開けて硬直します。
愕然とした目に迎えられながら、テスは空中で腰を捻り、左手の半月刀を右肩の上にやりました。
そして、着地と同時に男の喉に半月刀の一閃を浴びせました。
巨人はあと四体。
テスは地面に下り、叩き潰された家の後ろを走り抜け、その次に現れてくる家の庇へと跳び、二階の屋根の上へ。
メイスの星球がテスの体の下をかすめ、その針山のごとき棘の輝きが更にテスの目を焼き、乾かします。
マントが広がります。
男は叫びます。
テスの着地と同時に、男は首筋から血を噴き出しました。
マントの裾で土を撫で、男たちの眼前に、鳥のように舞い下りた影、テスが立ち上がります。
右の半月刀を左の脇腹に、左の半月刀を右の脇腹に、刃を前に向けてかざし、残すところ三人の男たちへと足を踏み出しました。
翼のように両腕を広げ、力を解き放ちます。
右手の半月刀の先端が、右前方に立つ男の喉を刺しました。
左手の半月刀の先端が、左前方に立つ男の首を掻きました。
左足を踏み込み、体に回転を加えて、最後の一人の男の首を、恐ろしくよく切れる刃で撫でました。
更にくるりと回転し、首筋から血を噴きながらくずおれる男の背後に回ります。
家と家の間にテスは立ちます。
通りには、一体だけ巨人が残っていました。