第11話 帰りのホームルーム

文字数 710文字

「はい、そこまで。ホームルームを始めるわ」
 担任が教室に入ってくる。

 突然の公式ヨイネに呆然と立ち尽くす私。
 担任はゆっくりと近くにやってきて、私に手を差し伸べた。

「今日はご苦労様。もうカメラを外してもいいわよ」

 えっ、カメラ?
 そうだった、私、映像をライブ配信してたんじゃない。
 あんまり頭に来たのですっかり忘れてた。
 とたんに恥ずかしくなる。

 何? さっきのシーンって世界中に配信されてたってこと?
 いやいや、ありえないでしょ。超恥ずかしい!

 顔を真っ赤にしながら私がカメラを外すと、担任がそれを受け取り、特殊なキーを用いてスイッチを切る。

「これで今日のライブ配信は終了よ」

 すると驚くべき事態が起きた。
 教室中から拍手が湧き起こったのだ。

「お疲れ様!」
「名演説だったぜ」

 なになに?
 何が起こってんの?
 ポカーンとする私に和諸が衝撃の事実を打ち明ける。

「悪いな、クラス全員でお前を騙して」
 すると未希も振り返る。

「ごめんね。反論するなっていうのは、委員長からの指示だったの」
 と言いながら、メール画面を私に見せた。

「男子には、各々にセリフが届いていたんだよ。委員長から」

 なんのことかさっぱりわからないけど、自分だけ騙されていたということは薄々分かってきた。
 だからみんな自習中にスマホを見てたんだ……。

「私、感動しちゃった。美作さん、やる時はやるじゃない!」
「いつも寝てるけど、理由があったんだね」
「まさに三年眠り姫だ」

 あはははは、あははははは……。
 って、最後の褒め言葉じゃないよ。
 私はただただ笑うしかなかった。
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登場人物紹介

美作美鈴(みまさか みすず)主人公

私立緑葉学園高等部一年七組

授業中はいつも寝ている問題児

ある日突然、学級委員長代理を依頼される

葉山若葉(はやま わかば)

一年七組の学級委員長

クラスメートから怒りっぽいと恐れられている

末野未希(すえの みき)

美鈴のクラスメート

美鈴の前の席に座っている

ちゃっかり者

諸沢和諸(もろさわ かずお)

美鈴のクラスメート

美鈴の幼馴染

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