56 夢は現実にする
文字数 1,307文字
どれくらい時間が経っただろうか。
トライブたちを包み込んでいた白い光が、徐々に消え失せ、その目の前に新しい世界――見慣れたはずの世界――が広がった。
さっきまで聞いていたはずの声が、光の向こうから出迎えていることに、トライブは気が付いた。
それは、まるで何かに感動しているかのような、普通の出迎えとは違う印象の声だった。
トライブに向けて駆け寄ってきたアリスは、そのままトライブの胸に抱きついた。
そして、泣きながらトライブの目を見つめる。
アリスは涙声になったまま、ソフィアに告げた。
だが、ソフィアはそんなアリスに、そっと言葉を返した。
アリスは、やや顔を上げ、得意げになってそう言った。
だが、トライブはその言葉を聞いたと同時に、首を横に振った。
これには、アリスどころか、ソフィアやアッシュまでキョトンとした表情を浮かべた。
その中で、トライブは言葉を続けた。
そう言うと、トライブはソフィアに手を差し出し、ソフィアがそれに呼応した。
二人がまっすぐ手を繋ぐことは、最大の親友にして、ほとんどなかった。
ソフィアが静かにうなずくと、その場からかすかに笑い声が聞こえた。
誰かが、早くも次の物語を考えているかのようだった。
夢の世界、パラレルタブレットに載せて……。