第6話 何かの間違いだろ?
文字数 2,074文字
全く今までこっちの試合なんてどうでもいいって思って見てなかった、冬月さんが見てるよ(笑)
俺がそう言う時にはもうジャンプボールは始まっていた…
慌てて飛んだ俺は神谷より遅く飛ぶことになる上にガニマタジャンプになった…
もちろん敵チームからも、味方からも、女子からも笑われる…
明なんて味方なのにダッセーとか言って爆笑してる…
みんなが笑っても、たった一人だけ笑わない人がいた…
冬月さんは笑っていなかった…
そして、愛は特に誰を応援してるわけでもなく見えるけど、神谷のことはほとんどの女子が応援している…自分達の1組も体育が一緒の2組も…
見ている冬月さんは以外な言葉を発した…
(空耳じゃないよな…?俺が冬月さんに応援されてる?!)
ガニマタジャンプで笑われてから、急いで戻って、ディフェンスするけど、神谷に華麗に抜かれた…
神谷は全員引き付けながら、長い滞空時間を飛びシュートかと思いみんなブロックするために飛ぶと、ノールックで、華麗に味方にパスを出す神谷…
そのままフリーでうたれシュートは決まる…
神谷に黄色い声援が起こるかと思いきや、女子はみんなびっくりして冬月さんを見ている…
男子も、試合していない人達は呆然としている…
2組のやつなんて、俺のこと知らないやつばっかだから、りゅういちって誰?神谷りゅういち?とか神谷だと勘違いしてる…
俺は体育館の端にチームで座ると、冬月さんのことを色々聞かれまくるけど、席が隣なだけとしか言えない…
だって俺、冬月さんと今日初めて話したんだよ…
女子もバスケの試合をしている…
男子がみんな見ているから、俺も見たら、冬月さんが試合をしている…
一人だけ神谷みたいに動きがキレキレで、女子のバスケ部のやつより上手い…
(神谷といい冬月さんといい、持ってる人は全てを持っているんだなと思い虚しくなる…俺が知っているのは神谷は帰宅部で冬月さんは元スーパーアイドル白石 千春…どっちもスポーツまで万能なんだな…)
さっき冬月さんは、みっともなく、みんなに笑われている俺のことを笑ってなかった。
むしろ応援してくれた…
(口は悪いけど、本当はむしろいい子なんじゃないかと思った…)
記憶を無くして、誰が誰かもわからなくて、転校してきて、絡まれたり、お昼ご飯もまともに焼きそばパン以外食べる時間なかっただろうし、注目されたり、きっと疲れてるだろうなと思った…
冬月さんって運動神経めちゃくちゃいいんだな。
冬月さんにバスケ教えてもらったら?(笑)
いや、男女関係なく、俺達より、間違いなく冬月さんはうまいよ(笑)
坂木さんはお前のこと応援してくれてるようには見えなかったけど?
ちょっと笑ってなかった?(笑)
ジャンプボールなら、お前と神谷は身長同じくらいだから、それだけは勝てたらいいなと思ったけど、あのざまじゃな(笑)
やめてくれよ。明なんて同じチームのくせに爆笑してたよな?
愛は笑いをこらえきれずに笑ったんだろうな…
愛は人を笑うような人じゃないけど、俺の無様さはひどかったんだろうな…
よく、冬月さんは笑わなかったよな?
冬月さんはめちゃくちゃ美人と可愛い合わさってるよな。白石 千春にそっくり出しさ。
そう言えば、白石 千春ってさ、俺達と年齢タメだったよな?
突然消えたけど、冬月さんだったりしてな?(笑)
(本人から言われたけど、いくら明でも勝手に教えるわけにはいかないからな…)
いや、人違いだよ。白石 千春はテレビでしか見たことないけど、冬月さんみたく言葉使い悪くなかっただろ?(笑)
だから、顔が似てるのはわかるけどさ、東京出身の白石 千春がわざわざ仙台に現れると思うか?
関東のどっかにいるんだろ。
そう言えば、冬月さんって東京から転校してきたんじゃなかったっけ?
そうだろうけど、別人だよ。お前まで変なこと言うなよ。
冬月さんは、迷惑してるみたいだぞ。白石 千春に似てるって言われて。
そう言ってくるやつ大嫌いなんだと(笑)
俺は席が隣だからそう聞いたけど。
冬月さんはそんなこと言ってないけど、そういうことにしたら、明はあきらめた。
俺みたいなのが相手にしてもらえるとは思ってないけど、嫌われたくはないだろ。今後、白石 千春の話はするな(笑)
体育の授業が終わり、帰宅の時間となった。
神谷はクラスの女子に囲まれている…
愛が俺の席の前に来た。
ごめんね。今日、真美と遊んでから帰るから、一緒に帰れないや。龍一君も来る?カラオケ行くんだけど。
別にいいよ。楽しんできてな〜。俺はそもそも歌が下手だからパス(笑)
冬月さんの無愛想な態度に愛は困りながら、酒井さん達と教室を出ていった…
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