クリスマスの思い出

文字数 527文字

今日はクリスマスらしい料理にしてみたよ。

アステラ鶏の丸焼きだ。

おっ、いいな。

それじゃあ今日は、おとなしくワインにしておくか。

結局、飲むんだな。
そう言うだろうとは、思っていましたけどね……。
まあ、今日くらいはいいかな……。
しかし、クリスマスかー。

俺たちは別に、特定の信仰を持っているわけじゃないけど、

プレゼントが貰えるイベントとして楽しみにしてたよな。

兄さんは毎年、

凝った仕掛けを作ってサンタを捕まえようとしていましたね。

ことごとく突破されていましたけども。

お前のだって突破されてただろー。
スハイルも捕まえようとしたの?

それは少し、意外だね。

だって、子供心に気になるじゃないですか。

深夜に魔術師の家に忍び込み、子供の寝室にプレゼントを置いて

気づかれず去って行くサンタは、一体どんな魔術師なのか……。

ああ、魔術師であることは前提なんだね。
当時は家に、父が防衛の魔術を張り巡らせていましたから。

それに引っかからないということは、

破るだけの実力を持った魔術師なんだと思っていました。

ところがどっこい、

ふたを開けてみれば、その父親がサンタだったと。

バレた日は、サンタの代理だーって言い張ってたけどな。
術者本人の出入りに魔術は反応しない。

簡単な理屈だったんですよね。

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登場人物紹介

スハイル-アルワズン

 魔術事務所世界/現代の主人公ポジ。

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の次男。性格は温厚で、人当たりのいい好青年。

 出身はリエースの森。オラシェ街中の学校を卒業し、市街地の一画にある建物に部屋を借りて魔術事務所(便利屋)を営んでいる。

 魔術の腕は天才的だが、兄のレゴールがそれを上回るため、自分は凡庸だと思っている。が、難易度の高い魔術を使っている自覚はある。

 果物や紅茶が好物。口の中をズタボロにされたため、硝子魚は苦手。

 こんな顔をしているが体力は底なし。体もしっかり鍛えている。

レゴール-アルワズン

 代々魔術師を生業とするアルワズン家の長男。明るく賑やかな性格で、弟のスハイルを大切に思っている。

 オラシェ街中の学校を卒業後、リエースの森にあるアルワズン邸で暮らしながら魔術師協会からの依頼をこなしている。

 魔術の天才であり、発動速度もアルワズンの家系で1,2を争うほど。親しいものの前以外では魔術の行使を控えている。

 好きなものはナッツ。酒も好きだが、主に飲むのは紅茶。

 森から街まで歩いてくる。

アレース

 オラシェに住む魔術研究者。情熱とやる気はあるのだが、不器用なため魔術を使えたためしはない。

 基本的にニハルの経営する酒場「ヴィノー」に入り浸っているが、諸外国の魔術関係の史跡を巡る旅に出ることもある。持ち帰ってくる品々は品質が良く、本職の魔術師も垂涎もの。

 昔、旅の途中で自分を助けた魔術機関のことを気にしている。

 酒には強く、完全なるザル。エルムルイカの臭気は宿敵。

ニハル

 オラシェの裏通りで営業している酒場「ヴィノー」のマスター。意外とドジなところのある、無口でシャイな青年……なのだが、この4人でいるときには割と喋る。

 近年珍しい魔術師の孤発例。派手な魔術は使えないが、魔素そのものを弄っていろいろと遊んでいるようだ。

 アレースとは長い付き合いで、彼の希望で酒に魔素を溶かして提供している。意図せず飲み過ぎるアレースの体が心配な今日この頃。

 好物はエルムルイカ。日干しにしたものが店の奥に保管されている。

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