「ほおるもん」なホルモンの中でも需要の少ないアレを貰いに

文字数 1,662文字

悟りの為には、ハゲタカに突かれねばならない。なにそれ悟り怖い。
ハゲタカに突かれて内臓出したホルモン君の本名は如何に。
ホルモン、食材としては癖があって人気が無く、精肉売り場でも加熱用レバーが有る位。
たまに、金柑(卵黄の元)を見かける位で、精肉売り場で中身は余り見かけない。
メニューの豊富な焼き肉屋とか焼き鳥屋さんなら、中身も食べられるけどにゃ。
ハツ、ハラミ、ミノ、サガリ、レバー、シロコロとか、ある所にはあると思います。
ただ、家庭でモツ焼こうと思うかどうかと言えば、精肉売り場を見ればその需要が分かる訳で。
まあ、腐りやすいし、焦げやすかったりで面倒だしにゃ。
そんなホルモンの中でもナイナーなパーツ。
それを貰う為に毎週食肉処理場に行っていました。
 
大変でしたよ、先ずは朝の六時から生理食塩水を温めて保温容器に入れて、受け取ったモツから切り取る為の外科鋏にそれを消毒するアルコール綿。感染予防のグローブに使い捨ての帽子とマスク。食肉処理場で履く為の長靴まで用意しなけりゃならない。
 
そして、何が面倒って移動ですよ。
電車で行ける処理場なら良い。
が、処理場ってのは場所も取るし、臭いも良くないからアクセスの良い所には無いもので。 
家畜を運ぶにも、都会じゃ不便だろうしにゃ。
そんな訳で、大学から車を借り(事前予約必須)てシロコロの本場の市までドライブです。
国道を走り、トラックに囲まれながらドライブ、免許取りたての大学生にはハードなドライブ。
普通自動車免許は、十八歳から取得可能だもんにゃ。
現役合格なら、大学入学してからの年月より運転期間短いだろうにゃ。
そう。なので、自動運転車が安全に導入されることを切に願います。
そうすれば、交通機関が未発達な地方でも、運転が苦手な人も暮らせますし。
杖を突くような爺が、イキって電車もバスもある都会で暴走することもなくなるだろうしにゃ。
ね。地方で運転なら仕方ないけど、あんな都会で運転する必要あるの? 金持ちなんだからタクシー使えば? ってなりましたよ。反省しねえし。
上級だなんだ関係なく、あんな態度じゃ批判されても文句言えないよにゃ。
二人の命を奪っておいて、自分悪くないとか、どこの親善大使かと。
テイフェス名物
 
 俺は 悪く ぬえぇー!
 
あれと同じことを良い年こいた爺が言うとは世も末です。
 
さて、人の命に比べて家畜の命は軽いので、食肉処理場では淡々と安楽死からの食肉への処理へ過程が進みます。
体温のままだと腐るのも早いから、冷やしながらの作業。
なので、作業場は寒いです。
切ないお肉が食卓に並ぶまで。
処理が甘いせいで食中毒が起きたらいけませんから、処理場が寒い以外にも
 
・専用長靴
・グローブ着用
・帽子着用
・マスク着用
・アルコール消毒必須
 
と言った「菌を外から持ち込むな!」な流れがあります。
つーても、モツ内にも菌は居るにゃ。
だから、職員がしっかり洗うのです。
そうして、洗われて切り離されてやってきたモツ。
そこから外科鋏で必要なパーツを切り取り、冷めない様に蓋を開ける時間を最小限にしながら生理食塩水入り保温容器に入れていく。
なお、この数は前日までに幾つ必要か先輩の実験予定で変動。多い日は中々終わらず、午前九時からの講義に間に合わない悲劇が起こります。嫌だね。
朝六時から作業して、九時に間に合わないって長い時間モツの為に働くのか。ブラックみ増すにゃ。
しかも、パーツは実験に使うのに良い状態でないといけない上に、全ての豚にあるパーツでは無いのですよ。
だから、運が悪いと寒い中で指先が上手く動かない中小さな外科鋏を使うので泣きたい気分に。
泣いたら涙が周囲を汚す。
運が悪い時は、終わった時には保温容器の中の生理食塩水も冷めるし、一限目の講義は終わっているしで散々でした。
本当、違う研究室を選んでいれば良かったと。
具体的に言うなら、「どうせ食肉処理場に行くなら食品系の研究室に」って。
そこなら、研究も美味しそうだにゃ。
そう。
なので、タイムマシンがあったら、研究室の実態を研究室選択時の私に伝えたいものです。
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登場人物紹介

作者代理

 
眼鏡でコミュ症な田舎育ち
毒親育ちが故に歪んでいる

イマジニャリーフレンド

 
モフやかなツッコミ役

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