第1話

文字数 1,264文字

 去る10月下旬に、ニッカウヰスキー仙台工場・宮城峡蒸留所を見学したことは、「熟成」(NOVEL DAYS 一般小説:2022年12月9日 更新)で述べた。
 ウイスキーは ①原料(麦芽と水)を ②仕込み(糖化)③発酵 させ、④蒸留 しさらに ⑤熟成(貯蔵)させる。その後 ⑥ブレンド して完成する。①から⑤までの過程は、蒸留所の気候や自然環境、時間によるところが大きく、人の手が直接加わることは少ない。ウイスキーの製造過程で、「時の技」「天使の分け前」などの言葉が生まれる所以(ゆえん)である。
 しかしウイスキー造りの最後の過程 ⑥ブレンドは、100%人の手による。このウイスキーを完成させるためにブレンダーなる職人がいる。

 ブレンド【blend】 [名](スル)混合すること。特に、洋酒・タバコ・コーヒーなどで、種類・品質の異なったものを数種混合すること。また、そのもの。(goo 辞書から引用)

 ウイスキーはブレンドによって完成度が高められる。
 最近よく耳にするシングルモルト・ウイスキーは単一の蒸留所で製造された原酒のみを使用したウイスキーのことを指すが、熟成年数の異なる原酒がブレンドされている。ブレンデッド・ウイスキーは、モルト原酒に麦以外の原料で作られたグレーン原酒がブレンドされている。個性の強いモルト原酒と個性の穏やかなグレーン原酒が新たなハーモニーを生み、奥深い味わいのあるブレンデッド・ウイスキーの香味が仕上がる。(*SUNTORY WHISKY on the Web > ウイスキー入門、**https://cask-investment.com > Dear WHISKY を参考にした)
 写真は見学した工場に展示してあった「 Whisky Flavor (ウイスキーの香りと風味)」である。

 Woody(木の香り)、Biscuits(ビスケット)、Cereal(穀物香)、Baked toasts(焼いたトースト)、Oily(オイルの香り)、Cream(クリーム)、Honey(ハチミツ)、Sweet(スイートな香り)、Caramels(キャラメル)、Smoked food(燻製)、Seaweed(海藻)、Bouquet(花束)、Floral(花の香り)、Fruity(果実の風味)、Raisins(レーズン)、Green(草の香り)と何と16種類もあった。
 これらとモルト原酒をブレンドし、新しく個性のある味わいのウイスキーが完成するのだ。
 宮城峡蒸留所限定のウイスキーも、ブレンドによって幾種類もの味と風味のウイスキーがあった。


 FRUITY(フルーティ) & RICH (リッチ)をショット・グラスで飲んだ。

 西部劇でバーのカウンターで荒くれ男たちが、バーボンをショットグラスでグイと喉に流し込むような雰囲気ではなかった。私がいつものように、ハイボールをがぶがぶと飲む雰囲気でもなかった。
 淡い琥珀色のウイスキーをちびちびと舐めるように口に含んだ。ブレンダー職人の繊細さを感じ取るように…。

 んだの。
(2022年12月)
 
 
 
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