第18話  ヤンキー烈伝 1

エピソード文字数 2,307文字



 ※


 結局この日は閉店間際まで忙しかった。五人のメンバーがフル稼働し、閉店しても掃除の作業まであっという間に過ぎてゆく。



 まだ九時半だったが、粗方の掃除が終わると、龍子さんとテーブルに座ってだべっていた。


ごめんね楓蓮さん。仕事中は人格が変わっちゃうというか

私もです。何故か無性に頑張ってしまう所があって。


一応お金貰ってるわけだし。足手まといにはなりたくないというか。

すっごい分かる! 


新入りなんで、とにかく出来る事だけは一生懸命やろうとしちゃって

そそ。そ~なんです!


何か私達……似てますよね?

ですねっ! 俺も今そう思いましたもん!
 龍子さん……俺って言ってますけども、全然違和感無いんだよなぁ。これが。
そんな他愛もない話をしていると、白竹さんも寄って来たタイミングで龍子さんが思い出したように口を開く。
そう言えば、楓蓮さんのラインとか教えてもらっていいですか?
はい。もちろんです。よろしくお願いしますっ!
あ~~~! あの。あにょ……私も教えてほすぃです!
勿論です。おすぇて差し上げますよぉ!

 という訳で龍子さんと白竹さんのラインと、ついでに電話番号も獲得した。



 ふふふっ。こう言う時の為に、俺はラインのアカウントを二つ所持し、電話番号も二つある。

 更には蓮と楓蓮用にスマホのカバーも付け替えてる徹底ぶりだ。




 後は、白竹さんに限っては気をつけなければ。


 彼女の場合だけ、蓮と楓蓮で二回教えてもらってるのだ。


 これで間違えてしまっては大惨事だからな。



じゃあ今度、どこか飯でも食いに行きませんか?

いいですね。仕事が終わってからでも、時間のある時に

 一応は社交辞令的な、当たり障りのない返事に留めておいた。


 本当は行きたい所であるが……


 楓蓮ではあまり……友達付き合いは考えていなかったりする。


 これには色々と理由があるのだが、話せば長くなるのでまた今度でいいだろう。

 


 ※


 気が付けば十時。バイト終了の時間である。

 やりきった感半端無い。充実したバイトであった。


 白竹さん一家に挨拶し、龍子さんと一緒に喫茶店を出る。




 その時俺はふと思い出した。コンビニで飯を買って来いと親父がライン送ってきてたんだ「お前の分はお前で買え」と。

そこのコンビニ寄って帰りますね
じゃあ私も寄って帰ろうかな

 龍子さんと仲良く並んで歩く。


 こうやって喋ってみると、最初のイメージとはかけ離れた気さくな人で、礼節もきちんとしており、非常に俺好みである。


 男っぽい口調も慣れてくると、非常に心地よくて、こっちまで気兼ねなく喋る事が出来るんだ。

今日は魔樹ちゃんクネクネしなかったね。


俺さ。初日にアレ見て爆笑だったわマジで

あはっ! 龍子さんもそう思いました?


分かりますよ。確かに彼は……女の子オーラだしてますし。

だけど今日は逆に美優ちゃんがクネクネしてるから、ビックリでしたよ。


昨日はとってもクールな美優ちゃんだったのに

ですよね? 二人の魂が入れ替わってんじゃないかって思いましたよ

ふははっ! 楓蓮さんも上手いこと言いますねっ。


確かにそんな感じでしたよ


 白竹姉弟の話をしながらコンビニが見えてくると、丁度反対側から男共の集団が歩いてくる。


 しかもまたチャラそうな奴らばかりだし、ここのコンビニって悪い奴らの吹き溜まりなのだろうか。

ここってさ、ガラの悪い男が多いよね
ですね。店が呪われてるんじゃないっすか?

 と、その時ある一人の男を発見した時、俺は見開いていた。




 見つけた。

 あいつだ。高校での長髪野郎じゃねぇか!





 染谷君に手を出し、白竹さんをナンパしようとして、俺に絡んできた。あの男だ。


 ……ふふふっ。ふはははっ!





 丁度いい場所で出会ったな。俺に出会ったが運の尽きだ。

 こりゃお礼参りしなきゃ気がすまねぇぞ。


 


 そのヤンキー達はコンビニ前で立ち止まると、ここでたむろするみたいだな。座り込みやがったぞ。


 よし。まずは……買い物をさっさと済まして、龍子さんと別れてから襲撃しよう。


 五人なんざ一人で十分ボコれる。

 などと思いながら、ヤンキー達とすれ違いコンビニに入ろうとしたその瞬間だった。




いたっ!


ドンっと勢いよくぶつかったのは龍子さんだ。

ヤンキーの一人と肩がぶつかり、その勢いで彼女が倒れてしまう。


ってか龍子さん。吹き飛びすぎだろとか思っていると、何も言わないまま立ち上がる彼女は、修羅のような顔つきになっていた。



【金髪ヤンキー】

あ、すんません

その金髪ヤンキーは龍子さんに対し控えめだった。が……

んだてめぇ!


ケンカ売ってんのか!

 ちょ! 龍子さん?


 それってこっちがケンカ売ってるようにしか聞こえないんですけど。


 


 そんな間にも、右フックからのワンツーを食らった金髪ヤンキーが後ろのゴミ箱まで吹き飛んでしまった。



 やべぇ! 突然龍子さんの戦闘スイッチが入っちまった。


おい、てめぇら。ここのコンビニでたむろするんじゃねぇよ。店の人に迷惑じゃねぇか!


ぶっ殺すぞこらっ!

は? 何言ってるのこのお姉さん


 舐めた口を聞くのは長髪ヤンキーである。

 

 バカだなこいつ。今一撃でやられたのを見てないのかよ。

楓蓮さん。俺ってこういう奴ら見ると、叩き潰したくなる性格でして。


たむろするなら公園でやってろって思うんです

 ちょっと龍子さん?


 初めて出会った時。たむろしてたのは誰とは言いませんが。

そうですよね? 


バカ達のおかげで、ここのコンビニが潰れると不便になりますし、こういう人達は排除しないと

まぁいい。このまま長髪野郎もボコれそうだ。


どさくさに紛れて染谷くんの敵討ちをしないと気が済まねぇ。

(さてと。学校での借りをたっぷり返してやるぜ! 死ねよてめぇら!)
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登場人物紹介

キャラのプロフィールは、章の始まりにも記載しています。


ここに記載されているのは主要人物です。

その他の登場人物は章の始まりなどに記載しています。


読者視点は神視点。

物語の中の人達が知らないことを全部見る事ができます


また、二章からはキャラの心の声まで聞こえます(フキダシが灰色)

 ★ 黒澤 蓮 くろさわ れん


 本編の主人公。高校一年


 男女入れ替わり体質。
 
 弟の凛と共に、新天地で新たに生まれ変わろうと、楽しい学校生活を送ろうとする。友人作りに重きを置き、人との付き合いにはとても慎重である。


 とても弟思いの良いお兄さん(お姉さん)

 ★ 白峰楓蓮 しらみねかれん


  蓮の女性の姿。白峰というのは偽名。

  黒澤家とは繋がりを見せないように演じる。


  心の中は男の子なので、女の子のファッションやらに興味が無い。

  とても美人なのにあまり自覚がなく、女性の姿はオマケだと思っている。

 ★ 黒澤 凛 くろさわりん


 小学校六年生


 男女入れ替わり体質。

 

 兄である蓮を慕い、とっても素直で女の子のような性格。
 ことある毎に兄に甘えてしまい、いつまで経っても、子供のままなので、蓮は凛の将来をとても心配している。



 ★ 白峰 華凛 しらみねかりん


 凛の女性の姿。

 外部との接触が無いので、彼女の存在を知るのは家族だけ。

 楓蓮と違い、おしゃまさん。


 ★ 美神聖奈 みかみせいな


 高校で蓮と同じクラスとなる。実は小学四年生までの幼馴染。


 容姿端麗。成績優秀。運動神経抜群。リーダーシップ抜群。お金持ち。

 など、全てを兼ね備えている人。


 二人目の主人公。

 ★ 白竹 美優 しらたけ みゆう


 蓮と同じクラスとなる。ピンクの髪が目立つ美人。

 自分の家の喫茶店で働いており、メイド服で接客をこなす。


 学校と喫茶店では、雰囲気がまるで違うのには理由があり……

 

 三人目の主人公。 

 

 ★ 白竹魔樹 しらたけまき


 蓮の隣のクラス。美優は双子の姉弟。


 学校ではとてもクール。喫茶店では男の娘?

 双方を知る蓮にとっては、非常に疑問な人物。


 四人目の主人公

 ★ 染谷龍一 そめやりゅういち


 蓮と同じクラスとなり、前の席という事で付き合い始める。

 わりと積極的。学校ではいつも笑顔で誰にでも優しいが……

 

 五人目の主人公

 ★ 平八 へいはち 


 聖奈専属の運転手。

 黒澤家の秘密を知っており、蓮の親である麗斗(れいと)とは旧知の仲



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