122

エピソード文字数 672文字

 光秀は“近畿の各地を転戦しつつ、丹波国の攻略を繰り広げ功績を上げる。”

 「上様がお犬の方様(信長の妹)を細川昭元(ほそかわあきもと)殿に輿入れさせるとは、ほんに驚きました。一番驚いたのは、細川殿でございましょうな」

(多恵、そのようなことを。良い御縁があったのでしょう)

「光秀殿は丹波一国を与えられ、今や34万石の領主様ですね。ご立派になられ、多恵はほんに嬉しゅうございます」

 多恵はほろほろと涙を溢した。

(多恵、泣かずとも……)

 私は泣いている多恵の背中を擦る。
 ここまでになるのに、どれだけ精進したことか。信長への忠義を思うと、嬉しくて目頭が熱くなる。

 ――逢いたい……。
 光秀殿に逢いたい……。

 廊下で侍女の声がし、俯いていた顔を上げる。

「於濃の方様、明智光秀殿のお成りでございます」

 襖が開くと同時に、私より先に多恵が駆け寄り、頭を垂れた。

「多恵、息災でなによりじゃ」

「光秀殿、数々のご功績、多恵は嬉しゅうございます」

「これもみな、上様のお陰じゃ」

「於濃の方様、見目麗しく息災で何よりでございます」

(光秀殿……)

 突然の再会に、感極まり涙が溢れ言葉が繋がらない。

 私達の関係を薄々勘付いている多恵は、他の侍女を従え部屋を出て行く。

「於濃の方様、上様も信忠殿も息災であられますゆえ、ご安心下さい」

(そうか、安堵致しました)

 泣きながら頷く私に、光秀は優しい笑みを浮かべた。

「泣くでない……。そなたに逢いとうて馬を走らせ参ったのだ。笑ってはくれぬか」
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

斎藤紗紅(さいとうさく)16歳

レディース『黒紅連合』総長

 斎藤美濃(さいとうみの)17歳

紗紅の姉、家族想いの優等生

 織田信也(おだしんや)20歳

紗紅の交際相手

元暴走族

 織田信長(おだのぶなが)

戦国武将

明智光秀(あけちみつひで)

戦国武将

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み