第1話

文字数 1,418文字

きいろいことり

あるむらにえくぼというなまえのむすめがいました。わらうとえくぼができるげんきなむすめです。

えくぼのむらは、こどももしごとがあります。えくぼはむらのむすめたちともりへきをひろいにいきました。するとラッパのおとがしました。
これはおしろにすむおうじさまのあいずです。これをきいたむすめたちは、ラッパのおとのほうへあそびにいってしまいました。でも、えくぼはいきませんでした。

むらでまつおかあさんのためにえくぼはひとりぼっちでもきをひろい、まっかなりんごやきのこをあつめていました。するともりのおくからカラスのなきごえがきこえました。えくぼがいくと、きいろいことりがかこまれていました。

「やめて。いじめないで」

えくぼがおいはらうとカラスたちはにげていきまたが、ことりはけがをしています。えくぼはむねにやさしくつつみ、おうちにつれてかえりました。

えくぼはおかあさんにおしえてもらい、じぶんでつくったやくそうをぬりました。そのよるはつきっきりで、ことりのそばにいました。

そしておいしいみずや、じぶんのごはんをわけてやりました。ことりはすこしづつげんきになり、おうちのなかをとぶようになりました。

「さあ。なかまのところにおかえり」

しかしふしぎなことにえくぼがまどをあけても、ことりはでていきません。えくぼのあたまにのりおどるようにはねたり、かたにのりきれいなこえでうたうのでした。

かわいらしいことりをえくぼは『きいろいおうじさま』、とよぶほどだいすきになりました。
そんなあるひ、むらにかごをもったしろいふくのへいたいがやってきました。

むすめたちがはなしをきくと、しろいふくのへいたいは、きいろいことりをさがしているといいます。

ことりをだせばきんかをもらえます。むすめたちはきいろいことりをさがしだしました。しかし、えくぼはたいせつなともだちをむねにしまいました。

「おかあさん。わたし、もりにかえしてくるわ」
「わかったよ。そのまえにこれをもっておゆき」

おかあさんはそういうと、じぶんのくろいかみをきりました。えくぼはこのかみでひみつのとりをつつみました。そしてもりへいきました。

そろそろふたりがであったばしょです。すると、たかいきのうえのカラスたちがガアガアとさわぎだしました。
やがてしろいへいたいがあらわれました。

「むすめ。そのことりはきいろではないか」
「いいえ。これはくろいろです」

とりはおかあさんのかみのベッドにつつまれ、くろいはねにみえました。

「むすめ。そのとりはことりではないか」
「いいえ。これはことりではありません」

たべものをたくさんたべたことりは、おおきなとりになっていました。

「むすめ。そのとりはけがをしているのではないか」
「いいえ。りっぱにとべます。それ」

えくぼはてからはなそうとしましたが、とりはえくぼのかたにのり、美しいこえでうたいました。すると、きのうえからくろいへいたいたちがふってきました。これにおどろいたしろいへいたいはにげていきました。えくぼのかたからおりたとりは、おうじさまになっていました。

けらいは、あのしろいへいたいのまほうで、カラスになっていたとおうじさまはいいました。

「わたしたちは、ずっとまほうをかけられていました。でもあなたおかげでげんきになり、ゆうきがでました。えくぼさん。わたしといっしょにおしろにきてくれませんか」

やさしいむすめのえくぼは、こうしておうじさまとしあわせにくらすのでした。


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