第3話
文字数 687文字
「足元気おつけろよ」
あの岩場の下が良さそうだ、大物がいる予感がする、場所は決まった。道具を準備しよう。
海面に小エビをばら撒き、釣り針にもエビを刺してその中に糸を垂らす。一通り助手に教えて始めた。
「さあご馳走よ、私の前に出てきなさい」
助手が上機嫌に釣り糸を垂らした。
3分後
「まだかな♪まだかな♪」
5分後
「来ないですね」
10分後
「全然来ない…どうして…」
さっきまで上機嫌だった助手の元気がなくなった。
「先生、全然釣れないじゃなないですか。本当にいるのですか?」
「あのな、そう魚って簡単に釣れるほど莫迦じゃあねえんだよ。
我慢
だ。釣りは我慢が重要だ。勿論、技術や経験、知識も大事だが最終的には魚との我慢比べなのさ。5分10分で根を上げるんじゃねえよ。それはそうと、お前の釣り糸上げてみろ」助手の釣り糸を上げてみると餌が無くなっていた。
「釣りって結構難しいんですね」
助手は意気消沈、落胆している。
「お前、釣りって初めてだったか?」
餌をつけ直して釣りを再開した。
「ええ、初めてです。先生はどれ位経験があるのですか?」
「探偵始めた頃は今よりも暇だったからよくやったな」
「探偵を始める前はどうだったのですか?」
頭の中に靄がかかり思い出せない。正確には自分でかけている思い出したくはない。
「軍人でしたよね?その時はどうだっあのですか?」
「悪いが釣りに集中させてくれ」
「そんな事言わずに、先生が駄目なら今度マレーさんに聞いていいですか?」
「勝手に人の過去探るんじゃ…」
その時だった。助手の浮きに動きがあった。