第2話 神の使い手とは

文字数 2,138文字

〜第2話 神の使い手とは〜
翌朝、外の小鳥の声で目を覚ます。
「そうだぁ。長老様の所に行かなければ。」
昨日はいろいろな事がありすぎた。
母上が亡くなったのは、以前から病気がちだったので、悲しいは悲しいが、驚きではなかった。
ただ。
問題はあの意味深な言葉だ。
もうっ、何?
神の使い手とか。
よくわかんないんですけど!
ぶつぶつ呟いていると、父上がドアを開けた。
「サナっ。もう7時だろうが。長老様の朝は早いのだから、もう行け!」
父上に急かされ、朝ご飯も食べずに長老様の所へ向かった。
お腹減った。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

村を歩いているといろいろな人に声をかけられた。
「ご愁傷様です。」
「心よりお悔やみ申し上げます。」
「。。。ご丁寧に恐れ入ります。」
私たちの村はそんなに大きくもなく、大変な農作業や何かの祭りの時は全員が協力する。
母が体が弱いのも知っていただろうし、昨日の儀式には参加していなくても、亡くなったことは知っていたのだろう。

ぐうううううう。

「ひゃっ!」
突然、お腹がなってしまった。
「えfyxじゃみ3¥7wにz@¥へあおっっっっっ」
はははは恥ずかしいっ。
「はっはっは。サナちゃん、お腹へってるのかい?うちに出来立てのおにぎりがあるさ。食べてきな。」
「いえ、あの、お邪魔するわけには。」
「いいのいいの。いつもお前さんのところには厄介になってるからさ。それに、子供がお腹すかせてるの、見逃せないわ。さっ、入って。」
「、、、、ありがとうございます。」
くんくん、いい匂い。
鮭の匂いがする。もしかして、私の好きな鮭おにぎり?
「ほうれ、じゃんじゃん食べて!」
「わあ、鮭おにぎり!私、大好きなんです。」
「そりゃ、良かった。では、いただきます。」
「いただきます。」
立ち上る湯気、きらきらのお米、そしてとれたての鮭、
ああ、美味しい。
もぐもぐもぐもぐ。
美味しすぎて5つのおにぎりをぺろりと平らげてしまった。
「ごちそうさまでした。」
「ところでさ、朝早くから、どこに行くんだい?」
「長老様のところへ、少し。」
「そうかい。遠いから気をつけてな!片付けはやっとくさ。」
「いいんですか!ありがとうございます。では、行ってきます!」
「いってらっしゃい!」

腹ごしらえも済んだし、私はまた歩きはじめた。
いや、遠いんだよなあ、館まで。私の家は村はずれにあるから、中心部までに歩いて3時間以上はかかる。

「ここかあ。長老様の館。」
印を組み、ひざまずいて門番に挨拶をする。
「なんだ、おう、テダさんのとこの娘さんか。」
「はい。テダの娘、サナと申します。長老様にお話があって参りました。父から長老様を紹介されまして。」
「そうか。。。。よし、通そう。部屋に案内するからついて参れ。」
「ありがとうございます。」
お館の中に通してもらうことには成功した。
「うむ。私が話をつけてくるからここに座っていろ。 おいっ、お客様だ、お座布団を持って参れ!」
ああ、緊張してきた。
第一、長老様のこと、よく知らないんだよな。顔を見たのは、この前のお葬式と、凶作だった時に神に祈りを捧げていた時くらい。話すなんてしたこともない。
それに、自分でもよくわからない神の使い手について聞くなんて、ハードルが高すぎる。
なんかもう、バンジージャンプを目隠し状態でやってるような、そんな、不安。
「長老様ーのおなーりー。」
さっきの人の声が響いてきた。
慌てて印を組むと、床に伏せ、お辞儀をする。
「わしに用があるのは、そなたで間違いないな。」
「はい。」
「大事な話じゃろうから、お前は控えておけ。」
「はっ。」
襖も障子も全てぴたりと閉められた。
「さて。こうべをあげよ。そなたの話を聞こう。」
「はい。率直に申し上げますと、私がお聞きしたいのは、神の使い手についてです。」
「何。何故じゃ。」
ぴくりと眉が動いた。が、すぐに元の顔に戻る。
「昨日、母が亡くなる前、私にだけそっと打ち明けてくださったのです。私は神の使い手であると。父にもその事は尋ねてはみましたが、よく存じていないようなので、父の紹介で長老様に会いにきた次第でございます。」
「なるほどな。リシャがそう言ったのか。」
「はい。誠にその通りでございます。」
「そうか。」
少しの沈黙の後、長老様は話しはじめた。
話によると、こういう事であった。
神の使い手は私の母の祖母、つまり私の曾祖母からはじまったもの。しかし、血を引いていても私の祖母のように使い手の能力がない人もいるということ。
神の使い手は神が宿るさまざまな動物の心を読むことができ、訓練すれば話すこともできるということ。
母は生まれつき能力が強く現れていたため、使い手であることが村中に知れ渡ってしまい、特別扱いに悩んでいた。だから、私の能力に気づいてもぎりぎりまで黙っていたのではないかということまで。
「なるほどです。よくわかりました。」
「うむ。あとで父上にも連絡する。あと、これじゃ。これはそなたの母リシャが遺した書じゃ。よく読んで力を扱えるようにせよ。あと、、、」
長老様はこそりと耳打ちした。
「え、、、、はい。わかり、まし 、た。。。」
「うむ、これで終わりじゃ。」
「本日はありがとうございました。」

こうして私は神の使い手を知ることとなったのだ。
















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