それぞれの結界の破りかた

　高校時代。
　実験協力、A級結界術者3名。
　記録者、新聞部。

　芦樹の場合。
　実験結果：蹴りと中和。
　まるでガラスの扉でも蹴り破るかのように。
　被験者は一つ目の結界をあっさりと、蹴りでもって簡単に破ってみせた。
　最初は何が起こったのか、すぐには理解できなかった。特に力を込めた様子も、魔力を練った様子もなかった。正面からの映像では、ため息をつく姿が確認できた。
　二つ目、三つ目では結界を中和したらしく、わずかに魔力反応が確認された。
　全ての結界において、必要最小限な範囲のみ壊されていたらしく、術者への負担は軽く済んだようだ。

　芦鴉の場合
　実験結果：こじ開け。
　エレベーターか。
　真っ先にそんな言葉が思いついた。「ホラー作品のエレベーターでよく見る状況」と考えてもらうと解りやすいだろう。
　右手の人差し指を上下に動かし、結界にわずかな切れ目を作成。再生する前に両手をかけ、こじ開けた。……才能の無駄遣いとは、こういうことを言うのだろう。
　二つ目、三つ目においても同様の破りかたであり、術者への負担は相当なものだったという。