第208話 思いがけない不意打ち
文字数 2,092文字
インテリさんに案内されて、ボクは町を駆け抜け、タイコーの家へとやって来た。
ボクはインテリさんと
インテリさんは足を止め、窓際の台に
ボクはインテリさんのやや後ろに立つことにした。
インテリさんはジロリ組の幹部だから、ボクが前に出るのは図々しい気がして
ボクはまだジロリ組の正式なメンバーでもないのに心配してくれるなんて……。
ボスは優しい。
胸がジーンときて、目にはしっとりと涙が浮かんでくる。
ボクは気づいていなかった。
ボスと副ボスの後ろに、
チータさんは、大慌てで叫びだす。
ホントに突然だ。
チータさんは謝りながらすばやく台から跳び下りた。
それからボクの足元に平伏するようにしゃがみ込む。
チータさんがねこねこファイアー組の刺客だったことは、インテリさんから聞いている。
嘘だ。ちょっとどころじゃない。
ホントは痛い。皮膚が焼けたみたいにジンジンする。
きっと以前のボクなら、もっと大げさに痛い~って騒いでいたはずだ。
だけど、ボクは変わった。
ジロリ組のみんなと出会って、いろんな経験をしたからだ。
もっと付け加えて言えば、ボクは元々弱すぎる自分が好きじゃなかった。
ボスみたいに、強くて、かっこよくて、しっかり者のキャラに少しでも近づけたらいい――
そんな願いが心のどこかにある。
ボクの首の後ろの傷跡をチラチラ見ながら、チータさんは気まずそうにうつむく。
うわ、バレてた!
情けないし、恥ずかしい……
チータさんはあちこち移動するのが得意な偵察猫だから、鼻で笑われるかと思ったけれど、案外同情的だ。
みんな怒ってる。
ボクに共感してくれてるんだ。
しかもチータさんは敵だったのに……。
ボクの飼い主だった人達よりも、ずっと理解ある存在に感じられてくる。
それ以上先を語ることができず、僕は口ごもってしまった。
すると、インテリさんが見かねたような顔をして話に割り込んできた。
思いがけない不意打ちだ。
ボクはショックを受けて、目も口も全開したまま固まるしかなかった。
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