部長の奇跡
文字数 1,839文字
今日は大手自動車メーカーにベトナムから輸入した電子パーツを売り込みに行く。とはいっても説明は殆ど済んでいて、価格交渉になる。仕入れ値から、どれだけ上乗せできるのかがヨハネさんとペテロさんの腕の見せ所ということになる。
「では部長行ってきます。」
「はい、荷物は持ちましたか?神に祈りましたか?」
「はい、荷物も持ちましたし、神に感謝をささげる祈りを三度行いました。」
「良いでしょう。あなた方に幸運がありますように。」
ペテロさんもヨハネさんも気合十分だ。私は会社から出られないけれど、この営業部の威信がかかっている。陰ながら応援せずにはいられない。
私は、その後ひたすら事務作業をこなし、一二時にマリア先輩と近くの店にランチに行った。
彼とはその後上手くいっているらしい。でもご飯を食べながら
「ねえ、向こうの彼カッコいいと思わない?」
「ええそうですね。」
まだ、懲りてないのだろうか。まあ人の人生だからいいんだけどさ。だから娼婦(ビッチ)って派遣の女の子に影で言われてるのを知らないのかな。
一方ペテロ先輩たちは‥‥…。
「こちらが部品に支払えるコストです。これ以上は払えません。」
眼鏡をかけた神経質そうな男だ。ヨハネさんが口を開く。
「しかし、この料金だとうちが赤字になってしまいます。」
「そう言われましても。実は幾つかのメーカーから打診がありまして、この値段がこちらの出せる最大です。」
そう言うと男は眼鏡を上げて、にやりと笑う。
「少し席を外させてください。上司に相談します。」
ペテロとヨハネはそういうと応接室を出る。
「どうするペテロ。これでは赤字だ。」
「くそ足元見やがって、ナイフで耳をそぎ落としてやりたい気分だ。」
「お前、前にホントにそれしたから冗談ならやめてくれ。」
「宴会芸が使える感じでもないしな。ああいう真面目タイプは苦手だ。もう部長に相談するしか…‥。」
「そうだな部長しかない。」
ペテロはスマホを取り出し電話をしようとする。すると着信が入った。ったくこんな時に誰だ。
その相手を見て二人は驚く。イエス部長からの着信だ。
「神の子たちよ。あなた方に祝福がありますように。」
「イエス部長今電話しようとしていたところです。向こうの値段が低すぎて赤字になりそうです。」
慌ててヨハネ先輩が説明する。しかし、イエス部長は落ち着いている。
「信仰の足りない者たちよ。神の王国を求めればすべて与えられるのです。」
「しかし、相手の佐藤という資材部のやつが手ごわくて」
「本当に恐ろしいのはゲヘナへ投げ込まれることです。いいでしょう私が彼と話します。電話を変わりなさい。」
ペテロとヨハネは部屋に戻ると佐藤氏に電話を渡す。
「資材調達部の佐藤です。今回の件ですがこちらの提示額でお願いします。」
「昨日の夜ですか?それをあなたに言う必要が?えっラインを見ろ。なんなんだ一体。」
イエス部長は何を話しているのだろうライン?夜?
「こっこれは。いつこんなものを。」
佐藤は暫く考えた挙句。
「わかりました。そちらの掲示されていた値段で結構です。」
そういって電話を切りペテロに返した。
彼は相当動揺していて顔が真っ青だった。
「ありがとうございます。こちらにサインをお願いします。」
彼は言われるままに契約書にサインをした。イエス部長は一体何を電話で話していたのだろう?
「ではありがとうございました。」
あいつラインがどうとか言っていたな。あっ
ラインで送られていたのは、ラブホテルから出てくる女と佐藤の決定的な写真だった。部長はどうしてこんなものを持っていたんだ。
こうしてまた一つの奇跡が起こった。のちのフライデーの奇跡と言われることとなる。
そのころ会社では。
私が昼ご飯を終え仕事をしていると、部長は神に祈りを捧げ電話を取った。
「ペテロよ。恐れてはなりません。信仰の少ないものよ。」
ペテロさんたちに電話をしているみたいだ。
みんな部長の電話を見る。ペテロさんたちが苦戦しているようだ。
「あなたは資材管理の佐藤さんですね。昨日の夜何をしていましたか。神は」
すべてをご覧になっていますよ。」
「ラインをごらんなさい。み使いを通じ神はあなたの不道徳を明らかにされます。今回はこちらの提示額でお願いします。」
そういって電話を切った。
「では部長行ってきます。」
「はい、荷物は持ちましたか?神に祈りましたか?」
「はい、荷物も持ちましたし、神に感謝をささげる祈りを三度行いました。」
「良いでしょう。あなた方に幸運がありますように。」
ペテロさんもヨハネさんも気合十分だ。私は会社から出られないけれど、この営業部の威信がかかっている。陰ながら応援せずにはいられない。
私は、その後ひたすら事務作業をこなし、一二時にマリア先輩と近くの店にランチに行った。
彼とはその後上手くいっているらしい。でもご飯を食べながら
「ねえ、向こうの彼カッコいいと思わない?」
「ええそうですね。」
まだ、懲りてないのだろうか。まあ人の人生だからいいんだけどさ。だから娼婦(ビッチ)って派遣の女の子に影で言われてるのを知らないのかな。
一方ペテロ先輩たちは‥‥…。
「こちらが部品に支払えるコストです。これ以上は払えません。」
眼鏡をかけた神経質そうな男だ。ヨハネさんが口を開く。
「しかし、この料金だとうちが赤字になってしまいます。」
「そう言われましても。実は幾つかのメーカーから打診がありまして、この値段がこちらの出せる最大です。」
そう言うと男は眼鏡を上げて、にやりと笑う。
「少し席を外させてください。上司に相談します。」
ペテロとヨハネはそういうと応接室を出る。
「どうするペテロ。これでは赤字だ。」
「くそ足元見やがって、ナイフで耳をそぎ落としてやりたい気分だ。」
「お前、前にホントにそれしたから冗談ならやめてくれ。」
「宴会芸が使える感じでもないしな。ああいう真面目タイプは苦手だ。もう部長に相談するしか…‥。」
「そうだな部長しかない。」
ペテロはスマホを取り出し電話をしようとする。すると着信が入った。ったくこんな時に誰だ。
その相手を見て二人は驚く。イエス部長からの着信だ。
「神の子たちよ。あなた方に祝福がありますように。」
「イエス部長今電話しようとしていたところです。向こうの値段が低すぎて赤字になりそうです。」
慌ててヨハネ先輩が説明する。しかし、イエス部長は落ち着いている。
「信仰の足りない者たちよ。神の王国を求めればすべて与えられるのです。」
「しかし、相手の佐藤という資材部のやつが手ごわくて」
「本当に恐ろしいのはゲヘナへ投げ込まれることです。いいでしょう私が彼と話します。電話を変わりなさい。」
ペテロとヨハネは部屋に戻ると佐藤氏に電話を渡す。
「資材調達部の佐藤です。今回の件ですがこちらの提示額でお願いします。」
「昨日の夜ですか?それをあなたに言う必要が?えっラインを見ろ。なんなんだ一体。」
イエス部長は何を話しているのだろうライン?夜?
「こっこれは。いつこんなものを。」
佐藤は暫く考えた挙句。
「わかりました。そちらの掲示されていた値段で結構です。」
そういって電話を切りペテロに返した。
彼は相当動揺していて顔が真っ青だった。
「ありがとうございます。こちらにサインをお願いします。」
彼は言われるままに契約書にサインをした。イエス部長は一体何を電話で話していたのだろう?
「ではありがとうございました。」
あいつラインがどうとか言っていたな。あっ
ラインで送られていたのは、ラブホテルから出てくる女と佐藤の決定的な写真だった。部長はどうしてこんなものを持っていたんだ。
こうしてまた一つの奇跡が起こった。のちのフライデーの奇跡と言われることとなる。
そのころ会社では。
私が昼ご飯を終え仕事をしていると、部長は神に祈りを捧げ電話を取った。
「ペテロよ。恐れてはなりません。信仰の少ないものよ。」
ペテロさんたちに電話をしているみたいだ。
みんな部長の電話を見る。ペテロさんたちが苦戦しているようだ。
「あなたは資材管理の佐藤さんですね。昨日の夜何をしていましたか。神は」
すべてをご覧になっていますよ。」
「ラインをごらんなさい。み使いを通じ神はあなたの不道徳を明らかにされます。今回はこちらの提示額でお願いします。」
そういって電話を切った。