トミちゃんからの便り
文字数 622文字
志村様
お元気かしら。
私は、正彦と自分が生まれ育った北国で、余生を送ることにしました。
四月だと言うのに、なかなか雪が解けてくれません。
ところで、あの秋葉原の一件で、カオルンさんにご迷惑をかけてしまったこと、
心からお詫び申し上げます。
ひとは誰しも孤独だと言うけれど……、
カオルンさんと過ごせた半年間だけは、自分が人並みに孤独であったことを、
全力で忘れることができたと思います。
本当に有難う。
最後に……
近い将来、カオルンさんが孤独に陥ったとき、本気で寄り添ってくれるひとが現れますように。
日向とみ子
駅から降りてすぐ見上げたところに、クリーム色のマンションが建っている。自然と目線は最上階の部屋にいく。
仕事から帰ってくるたびにほっと安堵することもあれば、チクリと心を刺す日もあった。
一年経過しても、その習慣はなかなか消えることがない。
もう潮時なのかもしれない。そろそろ、引っ越しを考えないと……。
そう思い始めた頃、切手が貼られていない封筒が郵便ポストに入っていた。
差出人を見ずとも、それが誰からなのかピンときた。
カオルン、「さん」って……。
トミちゃんは気づいているのだろうか?いままで、私をそんなふうに呼んだことがなかったことを。
正直、私にはトミちゃんが、北国よりもはるか遠くへ行ってしまったような気がするんだよ。
お元気かしら。
私は、正彦と自分が生まれ育った北国で、余生を送ることにしました。
四月だと言うのに、なかなか雪が解けてくれません。
ところで、あの秋葉原の一件で、カオルンさんにご迷惑をかけてしまったこと、
心からお詫び申し上げます。
ひとは誰しも孤独だと言うけれど……、
カオルンさんと過ごせた半年間だけは、自分が人並みに孤独であったことを、
全力で忘れることができたと思います。
本当に有難う。
最後に……
近い将来、カオルンさんが孤独に陥ったとき、本気で寄り添ってくれるひとが現れますように。
日向とみ子
駅から降りてすぐ見上げたところに、クリーム色のマンションが建っている。自然と目線は最上階の部屋にいく。
仕事から帰ってくるたびにほっと安堵することもあれば、チクリと心を刺す日もあった。
一年経過しても、その習慣はなかなか消えることがない。
もう潮時なのかもしれない。そろそろ、引っ越しを考えないと……。
そう思い始めた頃、切手が貼られていない封筒が郵便ポストに入っていた。
差出人を見ずとも、それが誰からなのかピンときた。
カオルン、「さん」って……。
トミちゃんは気づいているのだろうか?いままで、私をそんなふうに呼んだことがなかったことを。
正直、私にはトミちゃんが、北国よりもはるか遠くへ行ってしまったような気がするんだよ。