第1話

文字数 817文字

 【分水嶺(ぶんすいれい)】とは分水界、分水線、分水境界などという。雨水が異なる方向に流れる境界のことであり、水系と水系の境界を指す(水系とは集水域に流れる川の系統をいう)。異なる海域に注がれる水系の境界を大分水嶺と呼び、日本列島の場合、太平洋側と日本海側に分ける大分水嶺の連続線を中央分水嶺という。(*分水嶺倶楽部「中央分水嶺は日本列島最大・最長のロングトレイルだ!」を参考にした)
 奥羽山脈を走る中央分水嶺を陸羽東線の堺田(さかいだ)の駅前で見ることができる。
 陸羽西線が並走する国道47号線のトンネル関連工事のため2024年まで営業を全面休業している。そのため新たな撮り鉄の撮影地を求め陸羽東線の撮影地を検索していて、偶然にこの情報を手にした。奥羽山脈に降った雨が流れとなって、ある地点で二股に分かれる。一方は日本海に、もう一方は太平洋に注ぐ。一旦分かれた水は二度と交わることはない。そんな水にとって運命の分かれ道となる場所は一体どんなところだろうか?
 興味が湧いたので、秋も深まる11月下旬に堺田駅を訪れた。

 写真の中央奥から手前に、ちょろちょろと小川が流れてきて、手前を左右に走るやや大きな川に注ぐ。写真の左側の水は日本海に、右側の水は太平洋に至る。そこが大分水嶺だ。

 手前に大分水嶺を示す立派な最上石の石碑が建っていた。
 一見、何の変哲もない場所のように見える。
 しかし、分水嶺は、分水嶺が雨水が異なる水系に分かれる場所であることから、物事の方向性が決まる分かれ目の例え(goo 国語辞書から引用)に使われ、大きな意味を持つ。
 雨水は流れとなって、分水嶺で左右に分かれ全く違う方向に流れる。人の一生も雨水と同じく、知らない間に分水嶺で左右に振り分けられて今に至っているのかも知れない。
 自分は今、日本海側の山形県庄内で働いている。
 が、実は自分はいつどこで、分水嶺を通過したのか振り返ってみても分からないでいるのだ。

 んだの。
(2022年12月)
 
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