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文字数 423文字



井の中の蛙大海を知らず
昔の人はそんなことを言っていたらしい
そもそも大海なんてあるのだろうか
井戸から足掻いても登っても
その井戸から本当に
出ることができたのだろうか
やっと立ち上がって
見上げた空は大きく見えたとしても
見えていた空はさっきまでと同じ高さにあって
井戸の囲いは再構築されて
あるところは濃縮され辞書のようにまとめられ
図書館のようにそびえている
あるところは風通りだけは良い
その向こうにどこまでも続く嵐の中には
僕の見たことの世界中のかけらたちが
こんなことも知らないのかよと嘲笑う
常識の外にはまた違う常識があって
周りの壁は自分か欲しい常識が彩り
いらない常識は井戸の奥底に沈んで消える
そして思い知らされる
挑み続けても僕は全てを知ることなく
僕の入れ物が消えて無くなるまで
見えてるものが正しいのかどうかを
今日もまた新しい井戸が出来上がった
あそこには新しい井戸が生まれた
右から左から流れてくる新しい物語
その一つ一つに溺れないように
這い上がりその外を見つめよう


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