春の章ー1
文字数 1,067文字
朝の楠木邸の居間。
居間の真ん中にあるテーブルの上には、ご飯に焼き魚、お味噌汁、と和食が並んでいる。
居間にはもう揚羽の姿があり、テーブルの近くにある椅子に着席している。
そこに、寝間着姿の千紗が入ってくる。
そう言って、いただきます、と手を合わせる千紗
もっ、もっ、もっ、とご飯を口に運ぶ千紗。
それを、妹を見るような笑顔で見つめる揚羽。
そう言って、右ほっぺのご飯粒を取る千紗。
「それに、そないな事されたら、うち、我慢できひんかもしれへんし…」と小さく漏らした千紗。
「むしろ、そう思ててくれてんのか」と嬉しくなって、小さくガッツポーズを見せる千紗。
そういいながら、「いまはまだ、この距離感でいたいさかいね」と呟いた。
まだ、この気持に決着はつけたくはない春の訪れを迎えた千紗なのであった。